コンテイジョン (2011) 

文字数 865文字

【やはり、ソダーバーグは何かを持っている】 2011/11/11



「オーシャンシリーズ」のスリラーバージョンなのかな?
・・・と思った我が身を反省している。
どちらかというと 番宣も地味でおとなしく、
だからと言って「ソダーバーグフィルム」と喧伝するわけにもいかなかった悩ましさが
観たあとには理解できた。
一部で宣伝ネタになっているアカデミー賞俳優の叩き売り的出演から
つい「ソダーバーグ同窓会」と勘違いもしてしまう。

実際には、話題の超大物俳優たちがオーシャンシリーズのように一堂に会する事はない。
テーマが致死率の高いパンデミックであるため、
彼/彼女も汚れ役であり、必然的に死に直面もする。
僕のお気に入りのグウィネス(パルトロウ)が
解剖されて頭の皮をはがれるのには絶句してしまった。
ケイト(ウィンスレット)も壮絶な使命に燃え尽きる、
ジュード(ロウ)は最近得意の嫌悪感を撒き散らす、
ローレンス(フィッシュバーン)も高潔さの中に人間の弱さをさらけ出す、
マット(デイモン)は心優しきコキュに徹する。
マリオン(コティヤール)は現場と政治のギャップに道を見失う。

確かに番宣のコピーは正しい。
これだけの俳優を一気に堪能できることだけでもすばらしい。
繰り返しになるが、クラス会のお気軽演技などではない。
みな壮絶な役作りをしている。
これをして、俳優に圧倒的信頼を得ているソダーバーグの人徳というのだろう。
その信頼に確りと監督は応えているから、感心するしかない、
やはり、彼は何かを持っている。

俳優の力量と、監督力だけではなくストーリーそのものも
大掛かりなミステリーに収束する形式に構成されている。
脚本にソダーバーグの名前がないが、少なからず彼の仕掛けを感じるシネマ作法だった。
恐怖で教育するシネマもあり、一見の価値あり。

老婆心:
感染パンデミック、地震、洪水・・・と僕らは直近の1~2年人類への脅威を体験している。
どれほどの対策、心構えをすれば安心できるものか?
その安全・安心への信頼が薄れてきているのが実情でもある。
家族を守ることが一番だろう、だがどうやって?


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