出口のない海 (2006)

文字数 570文字

【お茶を濁す】 2007/3/2



見たことはもちろん、食べた経験もない料理を選んでしまった心持です。
最初、あまりに煮込みすぎたので素材の形も融けてしまったのかと
好意的に受け取っていましたが、
レシピコンセプトのない料理を主菜として饗せられたことに思い至り、
とっても不愉快な気分です。

これが歌舞伎界のプリンスシネマデビューの全貌だとすれば、あまりに無策過ぎませんか。
《出口のない海》なんと想像力を呼び起こしてくれるタイトルではないですか?
太平洋戦争末期の学徒出陣、六大学野球のスター投手、チームメイト、ライバル、恋人、
家族(母、父、妹)、そして海軍回天特攻作戦。
これほどの素材から、本当にこんなストーリしか紡げないのでしょうか?
もっとオリジナリティを愉しむことのできる映像は撮れなかったのでしょうか?
一歩譲ってみても、
全ての要素を欲張ってカバーしようとした誤謬の痕跡すらも感じられません。

失礼な言い方でしょうが《お茶を濁す》という言葉が浮かんできました。
まさか、
まずはプリンスデビューのスケジュールありき・・だったわけではないでしょうね。
出口のない海の時代を過ごした、若者たちに近づくことすらできませんでした。
まして彼ら、彼女らの裡なる海に触れることなどありませんでした。

観終わった今、救われない気持ちいっぱいです。
まさに出口なし・・・ですかね。

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