否定と肯定 (2016)

文字数 745文字

【歴史否定論の恐怖】 2017/12/21



《また ぞろ》の感は否めないがナチズムに関する問題提起。
ただし、提起された課題は広範であり、今まさに僕らが相対する危機でもある。

ホロコースト問題専門家のアメリカ人大学教授(レイチェル・ワイズ)がナチス擁護歴史学者から名誉棄損で訴えられるというストーリーが表の体裁。
●ヒットラーはユダヤ人虐殺を命令していない
●アウシュビッツではユダヤ人が虐殺された証拠などない
●ガス室は捏造だ
などの歴史否定を繰り返す歴史学者(?)。
最初は挑発に乗ることなくこの歴史学者モドキを無視していた主人公だが、英国法廷に呼ばれることになる。
そう、
この歴史学者は英国人、幼少のころからのヒットラー信奉者で反ユダヤ主義で、差別主義者。
ナチズムを標榜することは英国では罪にならない、なるほど民主主義の大いなる利点である。
(その一方では)ドイツではナチズムは固く法律で禁じられている。

英国では被告側がその無実を証明しなければ敗訴するという。
ユダヤ世界のサポートを受けた主人公弁護チームと反ユダヤ人学者との裁判が本シネマのメインストリームになっている。
歴史学者というのは名ばかりの極右のヒトラー信奉者は一人で孤軍奮闘するが、所詮ユダヤコミュニティの強い支援を受けた弁護団チームの敵ではない。

本シネマは実話ベースだとのこと、
なぜ今さらにこのようなパフォーマンス・ナチズムの愚劣な男との訴訟を問いかけたのか?
歴史否定は繰り返し騒ぎ立てることで一定の認知を得る。
そしていつの日にか、そのたわごとは一つの見解として何処かに存在意義を見出す。
今世界で、そして日本でもこのムーブメントが表舞台に現れ始めてきている。

歴史を否定することは、過ちを繰り返すことに等しい。
人類の性懲り無い阿保さ加減である。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み