私の中のあなた (2009)

文字数 690文字

【わたしを離さないで】 2009/11/7



観終わって数日、
「君に読む物語」に引き続き涙の感動を持続しています。
年を寄せても涙の浄化効果はてきめんでした。
また少し生きる意味を感じたような気持ちになりました。

家族ひとりひとりの気持ちが身を切るような痛みとして伝わりました。

当然、難病に苦しむ長女は皆から深く愛されています。
可愛そう・・・という愛され方かもしれません。
父さんは寡黙ですが、マッチョな体全体で哀しみ愛します。
兄ちゃんはナイーブ過ぎで、病気の妹に背を向けがちで愛します。
オチビちゃんは信じ難い役割に耐えて愛します。
おばちゃんは実務をしっかり引き受けて愛します。

そして、
母さんは盲滅法しゃにむに、なりふり構わず信念をもって愛します。

でも、母さんが愛したものは「家族」、
もしかしたら「家族の幻影」でした。
闘う家族はすなわち母さんの闘う生き方そのものだったのです。
闘うことは、しかし、膨大なエネルギーが必要です。

家族の闘いを終息させるキーワードも
これまた「愛している」でした。
母さんが闘いをやめたとき、
家族は新しい絆で、前より強く結ばれるのでした。

老婆心:
ストーリーの中でもきちんと説明されてはいるのだが
「ドナー用人工授精」は明らかに暴挙だ。
オープニングでその言い訳のようなことがモノローグでながれる。
ほとんどの受精はアクシデントだと・・・
だから意義ある「生」のドナー人間なのか?
ドナー人間はそれを知りながら両親を愛することができるのだろうか?
両親の愛情は勝手なもの、償いに近いものなのか?
「わたしを離さないで」・・・
ラストシーンのオチビちゃんの冷たい視線に戦慄と戸惑いを覚えた。

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