ラビング 愛という名前のふたり (2016)

文字数 742文字

【実話の重さ、そして名作です】 2017/3/3



LOVING という名前の夫婦がヴァージニア州を相手に訴訟し、
1967年連邦最高裁判所で憲法違反の判決が出た「ラヴィング事件」。
不勉強ゆえ、今まで全く知らなかった。

ラヴィング夫妻は白人男性と黒人女性のカップルだった。
1958年当時、ヴァージニア州法では異人種(!)間の婚姻は法律で禁止されていた。
この法律を人種差別の方法において最悪のものであるとシネマでは訴える。
「愛」は人間の生得権である、人は好きな人と結婚する権利がある。
なるほど、日本語タイトルが「愛という名のふたり」とした根拠に思い至る
・・・蛇足には違いないが。

ところで本シネマの夫リチャード・ラヴィングは
小さい頃から黒人と一緒に生活していた流れの中で
ミルドレッド・ラヴィングを愛することになる。
本人たちにとっては白人と黒人の結婚は何も問題のない結果だと思っていた。
ワシントンDCで結婚したものの、前述の州法の裁きを受け州から追放される。

物語は、再逮捕イコール刑務所収監の危険を冒しながら
故郷で家族と過ごしたいという妻ミルドレッドの強い意志、
彼女を守るためにその希望に従うリチャードの戦いを描く。

リチャードの生き方に、古くからの黒人の友が
「やっとお前も黒人になったな、黒人のつらさもわかるだろう」と慰める。
その一方では、「でも離婚すればいつでもお前は白人に戻れる」と挑発する。
その夜リチャードは妻に「一生お前を守る」と約束する、愛は生得権。

公民権運動リーダーキング牧師のニュース映像にため息をつきながら、
異人種間婚姻訴訟を続ける、ふたりのラヴィング。
彼らの小さな闘争は、しかしながら人種差別問題の大きな突破口となった。

怪優ジョエル・エドガートンが静かな怒りの演技を見せてくれた。

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