ヒッチコック (2012)

文字数 645文字

【終わってみれば「愛情物語」】 2013/4/7



あまりにも有名な【ヒッチコック劇場】のイントロ音楽で始まる本シネマは、
あまりにも懐かしい代物だった。(最後にはお約束の鴉も登場)
劇中、ヒッチコック本人の告白にもあったが、
本作は
「功成り名を遂げたヒッチコックが若き日のシネマ制作に感じた開放感を持ちたい」
という、
年寄りには極めて贅沢な願望を抑えられない、
だからこその天才とその天才を御す妻の物語だ。

その具体的背景となったのが「サイコ」の製作顛末一部始終。
観客の意表を突く、アッと驚かせたい願望、サスペンスの帝王であることの自負が
この顛末で語りつくされる。
FOXが企画を承認しないとなると、
自宅を担保に製作資金を調達して自主制作する件(くだり)は初めて知った。
「めまい」におけるヴェラ・マイルズとの秘められた愛憎、
ジャネット・リーとの厚い信頼関係、
アンソニー・ホピキンスのサイコ的本人実像、
シャワーシーン、刺殺シーン、トイレシーンの映倫との攻防
(そういえば映倫をシャイロックと呼んでた)、
巨匠ならではの主演女優とのスキャンダルも妻の叱責にみてとれる。

そして、僕の知っているとおり「サイコ」はその巧妙な販促活動にも助けられて
ヒッチコック最大のヒット作品となる。
仕事への自信回復と、パートナーである妻との和解、
めでたしめでたしのハッピーエンドだった。

終わってみればヒッチコック夫妻の美しくも強い絆で結ばれた愛情物語であった。
その二人をアンソニー・ホプキンスとヘレン・ミレンが演じるのだから文句もなし。

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