LOOPER/ルーパー (2012)

文字数 720文字

【SFでしか表現できない現世の哀しみ】 2013/1/13



お気に入り俳優、ジョゼフ・ゴードン・レヴェット(JGL)が今回もいい味出している。
ブルース・ウィルスとのダブルキャスティング(?)は大きなハンディかと思いきや、
なんのなんの JGLらしい玉虫演技が光っていた。
片や、相変わらずのダイ・ハードおじさんのブルースとの演技比較も本シネマの見所だろう。

喧伝されているように、二人はタイムトラベルの皮肉で逢い見合うことになった
ビフォー&アフターの同じ人物を演じる。
その経緯については実際に観たほうがいいとしか言いようが無いが、
ブルースは未来からトラベルしてくるアフタータイプ、
これを抹殺するのがビフォータイプのJGL、
業務契約として未来の自分を抹殺するわけである。

ところが未来を変えたいと願ったアフターブルースが、大いに反抗し、
かくしてなかなか面白いオリジナルSFクライムシネマの誕生となった。
もっとも「タイムトラベル」については、
劇中でアフターブルースが『タイムトラベルについては議論なしだ、1日中でも話せるけど・・・』といって
さりげなく、でもいしっかりと
タイムパラドックスが本シネマの本筋でないことを暗示している。

では見所は何なのか?
●貧困と親の愛情欠如が生み出す「子供たちの哀しみ」
●30年後の自分を殺すことで今を生きる「生の哀しみ」
●運命的出逢いによる「魂の再生と喪失の哀しみ」
●自分の力で未来を変えることのできる「人間の喜び」

自分のために、今の生活のために、
ささやかな幸せのために生きる僕には想像のつかないことだけど、
心が洗われるような気持ちになった。
そこには、SF大好き、タイムパラドックスマニアから抜けきれないSF少年の僕がいた。

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