ザ・ロストシティ    (2022) 

文字数 887文字

【ゴージャスな無駄遣い】 2022/6/27



贅沢な浪費を目の当たりにした。
本シネマは俳優の無駄遣いを絵にかいた、いや映像に再現したもの、STDGsの理念からしてもシネマ史になんら一点の貢献もしない作品だった。
サンドラ・ブロック、チャニング・テイタム、ダニエル・ラドクリフ、そこにダメ押しの御大ブラピー、これほどまで演技のできるスターを集合させておきながら、いくらカジュアルエンタメ系作とはいいながら、「やりっぱなし感」充溢のものになってしまった。
荒筋は作家と売れない表紙モデルカップルのドタバタアクション、これはこれで一つのジャンルを形成するのだが、いかんせんスターの役柄が超類型化されていて、誰が演じてもよかったくらいの投げやりな人物設定だったのに加えて、宝物探しストーリーが陳腐極まりない。
スターたちも、それでは・・・と腹をくくったように学芸会レベルにまで自らを貶めていた、確信犯と言ってもいい。
そのなかでただ一人、ブラピーが予想を覆すパターンで僕を驚かせる。
と言ってもたいしたことではなく、お約束事を無視するというだけのことである、
死んだはずだよブラピーさん、生きていたとはイエス様で知らぬマリアのブラピーさん、エッサオー ロストシティ。

今、僕の思念をよぎって止まないのは「人間は脳10%しか使っていない、だから10%失っても問題ない」 というブラピーの言葉。全くシネマとは関係のない名言だった。
いや、もしかして本シネマ低劣の言い訳だたっとしたら意味深いものだった。
彼が演じるのは胡散臭い元軍人警備員、作家・モデルコンビ救出作戦ではスーパーヒーローのごとく登場して、あっさりと退場、
そしてエピローグシーン(根拠不明の付け足しでしかなかったが)で宣うのが「脳10%云々」だった。
ビッグネームを何枚も使ってシネマファンをおびき寄せておいて、その内容は空疎なケースは何も今回が初めてではない。
TVCMが執拗なシネマは内容が空疎な証…という説もこれまた立証された。
しかし、ブラピー起用の目的たるや皆目不可解だ、本シネマの一番の見どころだった。
ゴージャスな無駄遣いシネマだった。
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