FOUJITA (2015)

文字数 403文字

【静かな力技】 2015/11/18



最後はフランス人として日本を捨て去ったレオナルド藤田さんの波乱の人生を、
二か所大きく切り取った大胆な構成だった。
ひとつは、パリ、モンパルナスでのデカダンスと栄光の日々。
もうひとつは、パリから帰国し画家として大東亜戦争に加担する偽りの日々。
まるで両極端に思える、二つの時代に共通していたのは、絵は人々に感動を与えるということ。

シネマはスチルとも思える、動きのない映像を多用する。
冒頭のモンパルナスの彼のアトリエから友人の戦死に至るまで、
動きの乏しい映像には忍耐力がいるかもしれない。
だけど生きていくことは、つまるところ忍耐の集積のようなもの。
波乱万丈の主人公の人生ですら・・・・何をか僕のような凡庸は嘆くこともない。

演じたオダギリ・ジョーさんは、徹底的に本人になり切っていた、容姿もそして精神も。

FOUJITAの複雑な一生を、たった2幕で描いた小栗監督、静かな力技だった。

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