トイレのピエタ (2015)

文字数 395文字

【花さん、あなたの時代です】 2016/3/9



RADWIMPSのことは知らなかったが、野田さんの才能には気付かされる。
立ち姿、歩く動作だけで演技ができるのはまさに天からのギフトなのだろう。
無論 両手を使ってのピエタ制作の描写は、一気に静から動への転換という見せ場だった。
本職俳優もうかうかしていられない。

しかし、野田さんを凌いでいたのが杉咲さんだった。
世事にたけた頑な少女、反面 純粋な憧れと現実の落差に抗う
痛々しさが強烈に伝わってきた。

この二人を指名した時点で本シネマは完成していたのかもしれない。
21世紀の日本では、生きていると実感して生きることの難しさを
自覚することさえしない人たちの多きこと。
そのアンチテーゼとして、早すぎる「死」を目前にして
命の意味を考える人もいることを指示していた。

「死」があるからこそ生きることができる、
そんな普通すぎる命題を本シネマは哀しく説き示してくれた。

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