バード (1988)

文字数 541文字

【殉教者へのけじめ】 2009/7/13



クリントは出演せず、監督、製作に徹している。その理由は実在のJAZZサックス奏者チャ-リー・パーカー(愛称バード)の伝記をシネマに全力で再現したかったからと思われる。ク
リントのJAZZへの傾倒は特に知られているが、このシネマはクリント自身の敬愛と後悔がこめられている。

クリントは過去バードを認めなかった。バードが薬漬けの人生の末、夭折したことは、当時のクリントの価値観には到底受け入れるものではなかった。
しかし、後年あらゆる方法でこのシネマ製作の権利を手に入れ、監督したクリントの気持ちは「殉教」の一語に込められている。
麻薬は認めないがバードの才、そして彼の殉教にも思えるJAZZYな人生を称えるこのシネマは2時間43分の長尺。

ほぼ全編JAZZが流れるかバードの苦境が描かれている。
暗くて未来のないなかで、各地でのライブ演奏が淡々と再現されている。もはや殉教者への賛歌を通り越して、鬼気迫る執念の再現である。残されている録音をデジタル編集して画像に合わせる方法はアカデミー録音賞に輝いた。
スタッフ、キャストともに大きな評価を受けた、クリント趣味の極致シネマだ。

自分の不明を素直に反省し、称賛を送る。
さすが、弱者に優しい公平なクリントならでは。
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