愛しのローズマリー (2001)

文字数 771文字

【まだ未熟なり人生】 2007/12/7



観たいシネマがない時頼み、もっと言うとシネマ鑑賞に疲れた時頼みとくれば、
《ジャック・ブラック》、あくまでも僕の好みだけど。
そこに僕のミューズ、グイネスがいれば、本シネマの良し悪し何をか言わんや、である。

ところがである。
本作をハートウォーミングラブコメディ・・・と知ったかぶりに言いきってしまうには、
僕の心は揺れ動き、思いがけない多少の動揺すら覚えた。
なかなか考えるところの多いプロットだ。

女性を外見で、それもワールドクラスの美とセクシーさだけで判断する性癖の主人公をジャックが演じる。これを性癖(あるいはトラウマ)だとするシネマの前提だが、これってジャックに限らず一般的男性の本能だ。
人類は種の生存本能、可愛い個体、美しい個体は保護されやすい真実から、そんな子孫を残そうとする。
この正論に最後は敢えて立ち向かう天晴れな主人公に敬意を感じてしまう僕がいた。

コメディパ-トであるはずの、
「催眠術を施されたため、接する人の心の美しさが反映して見えてくる外見」と
「術が解けた後のその人たちの実像としての外見」のギャップはそのまま僕の偏見を浮き彫りにする。まったく笑うことなどできるわけもなかった。

シネマがここで告発していることは、この年になるとかなりの程度理解できる。
曰く;
人の知性、優しさ、思いやりこそ、人を評価するものさしであり、
人間たるものこの資質がないと生きる資格は無い。

実は、そんな心の美しい人たちの《心》は、自分の《心》が美しくなければ到底見えてこない。
このごろ、ようやくそのことに気づき始めたところだけに、このシネマに動揺してしまったみたいだ。

それにしてもローズマリーとの愛の結末は極端だと思う・・・
・・・いやいや極端だと思うこと自体偏見ではないのかな?

まだ迷いがあるみたいだ、まだ未熟なり人生。
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