クッキー・フォーチュン (1999)

文字数 509文字

【コメディなんかではない怖いお話】 2007/12/4



一人ひとりの俳優を輝かせること、監督の大切な資質だ。
それも監督のコントロールの下で・・・となると監督の力量が問われる。
そんな想いで、コメディのようなミステリーのような、果てはスリラーのような本作を楽しませてもらった。
グレン・クローズの狂気
ジュリアン・ムーアの恐怖
リブ・タイラーの奔放
チャールス・ダットンの屈折
ネッド・ビーティの無邪気
ドナルド・モファットの洒脱
そして「クッキー」パトリシア・ニールの鬼気

これをしてアルトマン的群像劇というのだろう、因果則で図れない人生の滑稽さが演出のキーだ。このストーリーに込めらているのは、時と場所を越えた運命の皮肉、世界のどこにでも、どんな人種にも、いかなる時代にも起こりえたであろうプチドラマだ。

もしかして・・・でなく、かなりの確率で心底退屈に感じる方もあろう。
ここは、、繰り返しになるが、俳優のかもし出すニュアンス、いや動きやセリフでいいから、じっくりと味わってみるのはどうだろうか?
俳優ひとりひとりの総和が結集して、背筋がぞっとするアイロニーを形成しているのに気づくかもしれない。

そう、コメディなんかではない怖いお話だった。
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