スター・トレック (2009)

文字数 1,108文字

【トレック前のウォーミングアップ】 2009/5/31



いまさら、このディープなトレックワールドにコンタクトするのも疲れそう・・。
そう思った以上に今自分がかなり疲れていたため、
最新の特撮シーンを観るだけでもよしとして、身を委ねてみた。

1960年代、ティーンエイジャーの僕にはSF少年になるほか道はなかった。
物心ついた頃には「鉄腕アトム」がいた、TVで「スーパーマン」に憧れ
「エイトマン」、「ウルトラマン」がその後を引き継いだ。
SFの概念が多様化してきた1960年代に正統スペースオペラとして輝いたのが、
「スタートレック」だったが、
当時の少年にはエンタープライズ内の人間模様が面倒くさかった。

そんなネガティブな思い出が強い僕でも、
本シネマではとても優しいテイストを堪能できた。
分かりやすくサブタイトルをつければ
「スタートレック、トレック前のウォーミングアップ」となる。

なんと二時間あまりをかけて、登場人物の徹底ブリーフィングをやってのけている。
マニア以外では到底知ることのない細かなエピソードも丁寧に拾い集めたと思えるほどだ。
だから、本当は新規のファンに格好の入門編に仕上がっている。
また、僕のような忘却彼方タイプにも心優しい取り扱いだ。
実際に観客を見渡してみると、古いロイヤルファンが多かったようでちょっともったいない。

構成のネタバレとなるが、
本作は宇宙船エンタープライズがカーク船長の下、新しい船出に至るまでのマイナスヴァージョン。
もっともそのビギニング製作だけでもかなりのエレメントを端折っているのだろう、
全編にみなぎる焦燥感がそれを裏付けている。
最新VFXを標榜する本シネマだが、その焦燥感ゆえなのか「台詞」説明に委ねざるを得ないパートもある。SFマニアには「待ってました!」の展開かもしれないがせかっくのスピード感が損なわれていた。
それも、トレックワールドならではということなのだろう。

さて、僕が期待した映像価値はどうだったか?
宇宙船エンタープライズに敵対するネロ船長(エリック・バナー怪演)の船がいい感じだった。
まさに邪悪の権化、わかりやすい構図は観ていてストレスを感じない。
若き日のカーク船長のカースタントは予想外の興奮を沸きあがらせる。
スタートレックにチキンレースかい?
実はこの少年の日のスタントが、スペースオペラシーンに何度か甦ってくる。
そのほかにも、パラシュート降下、怪獣との遭遇、ブラックホール、転送など、
ビギニング編に濃密なアクションをどれだけ取り入れるかの命題にも充分応えている。

気楽に映像に身を委ねることができた。
疲れが取れたかどうか?
やはり疲れたな、ここはディープなトレックワールドだから。
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