ライフ (2017)

文字数 598文字

【恐怖のビルドアップ、どこまで?】 2017/7/12



モチーフはいまや伝説の名作「エイリアン」の恐怖 、つまりは未知の凶暴な宇宙生物に襲われる逃げ場のない恐怖だ。
しかし、「エイリアン」はあくまでもSFワールドのお約束事の怖さ、F(フィクション)の磁場が強かった。

今作はISS(国際宇宙ステーション)の中でそのエイリアンが暴れてみせる。
ISSではアメリカ、ロシア,イギリス、日本の科学者が宇宙空間での研究をミッションとしているのは現実どおりだった。本シネマのISSは火星からの土壌サンプルから生命(LIFE)を発見する、研究は検疫のためISS内限定となる。

物語はこの生命体が強力なパワーと知能を発揮してISSクルーを襲う恐怖のいきさつだ。
クルーには日本人エンジニア(真田広之さん)もいることなど極めてリアル、今まさにそこにある恐怖が進行する。
乗組員6人がこのエイリアン「カルビン」を決して地球に持ち帰らないことに命を懸ける、なかなか人類愛に満ちた設定だった。

つい最近の秀作「火星の人」で見た火星は無機質な惑星というイメージを大きく覆す、ヴァイオレンス火星人の姿に僕は驚愕するのみだった。
現在進行形の舞台設定での恐怖は、実はISS内部での閉塞的殺戮に止まらない。
本シネマの優れた観点は、現状の楽観的宇宙観を徹底的に否定することで僕を突き離す冷徹さだった。

この恐怖、いったいどこまで拡散するのだろうか?
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