女と男の観覧車 (2017) 

文字数 475文字

【自虐なのか自慢なのか? 】 2018/6/26



ケイト・ウィンスレットの熱演が最終的にコミカルに見えたのは監督の意図するところだった。
「人は生きていくために嘘をつく」…そうかもしれない。
ケイト演じる元舞台女優ウェイトレスの発する言葉がそれのサンプルのようだった。

浮気性の彼女が離婚した本当の理由は?
連れ子の火遊びの理由は?
大学生とのひと夏の浮気の理由は?
義理の娘に嫉妬した理由は?
それでも亭主と別れることができない理由は?

ケイトの過剰な演技は、それらの理由がすべて偽りの理由であることを示唆していた。
浮気性の40歳の人妻は人生を演技していた、
そこに魂に響く感動はなかった、
つまりは人はみな「へぼ役者」。

ウッディ・アレン 83歳、
いまだハリウッドに対抗するNY文化人の矜持が輝く、いぶし銀かもしれないが。
ギリシャ悲劇 シェイクスピア ユージン・オニールの極みにすがる
インテリ映画人の元気な姿を確認した。

ウッディ・アレンのアイロニーが本シネマの重しになっている。
ぶれない精神は彼にとって自慢なのか、自虐なのか?
時代を見つめない潔さは今作でも健在だった。

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