エルネスト (2017)

文字数 586文字

【高い志と美しい映像の世界観】 2017/10/12



ボリビア自由解放ゲリラ戦線でチェ・ゲバラが戦死したとき、
一人の日系ボリビア人が同じ場所にいた。
阪本監督はチェの名前をコードネームとしてもらったこの青年を執拗に追いかける。

物語はチェの広島訪問(1959年)をイントロダクションとして、
主人公フレディ前村がキューバに医学留学するところから始まる。
寡黙で厳しかった日本人の父、功成り遂げて裕福な家庭に育つフレディはチェのそれに重なる。
医学インターン時代に村に往診にバイクで向かうフレディ、チェの若き日々に重なる。
チェと討論するフレディは、チェとカストロの同志愛に重なる。

そのカストロにフレディが尋ねると・・・
「政治のことは不得意だから聞くな」と苦笑いするカストロ。

そこにはアメリカとソ連との冷戦の狭間で、祖国存続を賭ける若き指導者の苦悩があった。
中南米共産化ドミノ阻止のために手段を択ばないケネディの強面が一方では描かれる。
パックスアメリカーナの原型である。
カストロは、その不得意な政治力を驚異的長期間発揮する一方、
チェは「自由」の大切さを旨に戦いの場に赴く。

叶わない夢を見ることがなぜいけない?
勝利することがない戦いがなぜ無意味なのか?
フレディの痛切な想いは、しっかりと後に続く者たちに引き継がれた。
いや敵対する者たちにも。

監督の熱い想いとオダギリさんの献身が突出していた。

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