さらば冬のかもめ (1973)

文字数 438文字

【ニューシネマの大いなる遺産】 1978/4/25


「カッコーの巣の上で(1975)」でのアカデミー主演男優賞のおかげでお蔵入りしていた作品が公開された、ジャック・ニコルソン効果以外の何物でもない。
公開用タイトルには、ご丁寧にも「ジャック・ニコルソンの・・・・」という冠付きだった。
当然のことではあるが、シネマはすべてジャック・ニコルソンの強烈な個性ににおんぶにだっこの形だ。
裏を返せば、ただニコルソンワンマンショーというだけのものでもある。
内容はと言えば、ニュー・シネマの舞台といえばこうでしょうという設定ばかり、海軍、刑務所、世代ギャップ、旅などなど。

ニュー・シネマ全盛期1973年の製作だった。
こんな企画にジャックはしっかりと応えてくれている、前述の「カッコーの巣・・・」のマクマーフィー以上に主人公を演じきっている。
ことさら新鮮なストーリーでもないのだが、どちらかといえば邦画の趣に近い繊細さが際立っていた。
ニューシネマの大いなる遺産だった。
(記:1978年4月25日)
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