ミッドウェイ (2019)

文字数 940文字

【やっぱり「地球的心だ、エメリッヒ」】 2020/9/11



一言でこう片づけることもできる:
マイケル・ベイ&ブラッカイマーの「パールハーバー(2001)」に
ミッドウェイ海戦を付け加えた正義のアメリカ完全版である・・・と。

実際に、本シネマはパールハーバー、ドゥーリトル東京空襲、
まで「パールハーバー」をなぞり、そしてミッドウエイに至っている。
この長い反攻の流れを中心に据えたため、ややこしい友情や
戀愛物語などはバッサリと割愛されただただ日米の軍人たちの
熱い想いがてんこ盛りになっている。

太平洋戦争という歴史事実からしても闘いの主役は海軍、
今作では山本とニミッツの名将の闘いにもなっていて、
数多の若い命を犠牲にして日米の司令官が国の存亡をかけた戦いに臨んでいた。
両国の存亡・・・とまで日本の実力を過大に評価されているのがいささか鼻白むくらい、
本シネマは日本への敬意に満ちていたのは
「パールハーバー」における滑稽なほどの日本無理解の修正であり、
エメリッヒ監督の真骨頂だった。

物語りは家族愛にも軽く触れるが、前述のとおり戦闘と戦術に執着し続ける。
戦争シネマファンにとって、最新のVFXを駆使した驚きのシーンは未知の世界でもあり、
果たして事実はどうだったのかと怪しむほどのエキサイティングな映像の連続で、
シネマとテクノロジーの進歩にまたまた感激させられる。

一方で、キャスティングにおいて日米のギャップを感じる。
日本サイドの丁寧な説明として昭和天皇や東條首相まで登場させているように、
豊川悦司、浅野信忠、國村隼の海外向けエース俳優を起用している反面、
ニミッツにウッディ・ハレルソンを据えたのが象徴するように
若手・ベテランの実力俳優がアメリカ側を彩っていた。

おかげで、僕は当初危惧していた卑屈な敗北感に陥ることもなく
本シネマのエッセンスを味合うことができたのだった。
それは、エンディングに掲げられたシンプルなメッセージ、
「本作を日米の戦士に捧げる、真実は海が知っている」

やってくれたね エメリッヒ監督、またもや彼の地球的心に乾杯、
「戦争は悪」だというのは簡単だが、過去人間は幾度と戦争を行い、
平和に立ち戻り、そしてまた闘いを始める。
地球はそんな愚かな人類を何度まで許してくれるのだろうか?
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