殺しのドレス (1980)

文字数 668文字

【ヒッチコック師匠】 1981/5/23



僕はデ・パルマ崇拝者ではないが、
彼のファンタジックな映像には魅せられ続けてきている。
そんなデ・パルマも少し有名になりすぎたかな?
デ・パルマ自身ヒッチコックの後継者を自認し、
実際ヒッチコックのパロディといわれるような映像を制作してきただけに、
サスペンス感の盛り上げには尋常ならざるテクニックを持っている。
本作品で残念だったのは、デ・パルマが興に乗りすぎて
ヒッチコック・パロディ面を強調しすぎた点であろう。
確かに、女装の犯人、シャワー室など《サイコ》との類似点は少なくない。
未確認情報だが、女装ファッションは《ファミリープロット》のカレン・ブラックと同一、
カメラワークもコピーとの指摘も聞く。

この面を指摘して、「偽もの、真似もの」との批判が出てくるのも、
まんざら故なきことでもない。
それでも、しかし、本シネマはデ・パルマのオリジナル、
確立された様式美を証明するものだと思う。
デ・パルマが常に自作をヒッチコックに捧げているとのうわさは真実だと思うが、
それと独自性の放棄とはまったく別である。
シャワー室は《サイコ》のそれより《キャリー》のそれに似てはいなかったか?
(お約束になった)ラストのおまけショックはヒッチコックスタイルではないだろ?

本シネマでデ・パルマがソフトな心理的ショッカーに挑戦してみた意図はよく理解できる。
「ソフィスティケイテッド」サスペンスを狙ったのだろうが、
僕としてはまだまだストレートなショッカーを期待している。
そのために「ヒッチコック師匠」がいても、いっこうに構わないではないか。
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