ククーシュカ ラップランドの妖精 (2002)

文字数 592文字

【言葉も野蛮な文明】 2007/2/9



ロシア人監督(アレクサンドル・ロブシュキン)とフィンラアンド人俳優を起用した奇妙な作品だ。
どこが奇妙かというと登場人物3人の喋る言葉がロシア語、フィンランド語、サーミ語(ラップランド地方)とまったく異なり、3人がコミニュケーションが取れない。
この3名とは
追放されたフィンランド兵士(罰としてナチの軍服を着せられている)、
軍事裁判から脱走してきたソビエト軍将校、
そして夫を戦争に取られたラップランド女。
互いに意思が通じないと分かると、勢い三人とも一人善がりの発言を開始する。
言葉でコミュニケーションできない3名を尻目に観客はその行き違いをサブタイトルで楽しめる。
通常なら胸の内にとどまる想いを、そのまま外言として知る面白さは、ある意味で透明人間になって何処にでも入っていける秘めた悦びに近い(またはエスパーになった気分かも)。

この設定でいろいろと笑わせて、楽しませてくれる。
特にロシア人のナチへの憎悪は根強く、本当は平和主義者のフィンランド兵士との会話がまるでかみ合わなく、痛烈な皮肉を含んだ笑いをさそうが、やがては、危険領域に及び、悲劇に取って代られる。
兵士が二人登場するけど、本作品は反戦をテーマに掲げるものでもないようだ。どうやら物質文明に対する痛烈な批判が込められていた。

フィンランドの自然とトナカイも観ることができて、ためになるシネマだ。
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