パーフェクト ワールド (1993)

文字数 539文字

【パーフェクト・コスナー】 2013/11/19



《許されざるもの》でアカデミー賞(作品、監督、助演男優、編集)を受賞して乗りに乗っているクリントが、これまた《ダンスウィズウルブス》で一足先にアカデミー賞をとったケビン・コスナーを主演に招いたシネマだ。
物語は脱獄犯と人質の少年との心温まる逃避行を描いたもの。
二人の擬似親子関係は最後の悲劇にいたるまで見事にコントロールされ、子供に対する虐待問題提起と絡めて、きっちりとメッセージが伝わる佳作だ。

弱者を見る視線が、ケビンを媒介としているため、いつもより弱者側に傾いているのが新鮮だ。
何よりそのケビン・コスナーがうまい。あのハンサムな姿かたちなのに、犯罪者のにおいを上手に染み出させている。
「本当はいい人なのね・・」と言われて「いや、悪人さ、それほど程度は悪くはないが」・・・この台詞に代表されるケビンの演技がシネマをきりっと締めている。

それに対してクリントは追跡する地元警察官役として脇に徹している。
しかしダーティハリーの亡霊まで封印するわけではなく、最後に観客の願いは叶う。
権力を笠に着るFBI捜査官への一撃は、フェミニズムの発露も兼ねて痛快そのもの。
悲劇のなかで唯一の救いになった。
さすが観客のツボを心得ているクリントならでは。
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