インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 (2013)

文字数 722文字

【名もなき誰もが歌います】 2014/6/1



2013年カンヌグランプリ、
そしてコーエン兄弟というキーワードだけで劇場に行ってきました

冒頭シーンから熱いフォークが歌いあげられいて少し安堵しました、
というのも僕もかってのフォーク小僧だったからです。

時代は1961年、場所はグリニッジヴィレッジ、この時代のアメリカ若者文化が日本に、
そして僕らに波及してくるのがすぐこの後でした。
物語は、フォークソングを愛する青年のドタバタの数日を描いています。
彼は相棒を失った暗い過去を持ち、アンチ権力のフォークの真髄を追い求めながら、
大貧乏に押しつぶされそうになっています。

有名になりたいが自分を偽ってもいいのか?
この葛藤がフォークシンガーらしいのです、観ていて微笑ましいくらいでした。
シネマは、なにも特別な事件を設定していません。
居候先の猫を追いかけ、不倫相手の妊娠に悩み、施設に父親を訪ねフォークを聞かせ、
ショウビズ界をあきらめて船乗りになろうとする・・・などなど。
エモーショナルな出来事はなにも起こりませんが、あまりにも現実感にあふれているので
僕は微笑み、そして泣きそうになりました。

当時の大統領、ケネディを揶揄するコミックなプロテストソングの録音シーンはじめ、
フォークの実演シーンが当然のように、たくさん登場します。
しかし、それだけです。

結局ルーウィン・デイヴィスはどうなったのでしょうか。
1曲大当たりをとって全米チャートに食い込んだのかもしれません。
2年後のケネディ暗殺が、彼にどんな暗闇を見せたのでしょうか。
彼のオリジナル曲 
「♪・・・この可哀想な俺を高く吊るせ・・・♪」
がフェードアウトするのに合わせて
彼の人生も「名もなき男」の戻っていくのでしょう。

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