マネーモンスター　（２０１６）

【八方上手く治まりましたけど・・・】　2016/6/11



ジョディ・フォスター監督作品は初経験だった。
一瞬の弛みもない緊張が継続する小気味よい完璧な仕上がりだった。
舞台はTVバラエティショー「Money Monster」の生中継スタジオを中心に展開する。
敏腕ディレクター（ジュリア・ロバーツ）と
人気者MC（ジュージ・クルーニー）の息ピッタリのコンビは、
そのままシネマの成功につながっていた。
乱入する番組ジャックの若者、放送を絶やさない根性の製作スタッフ、
鎮圧制御するニューヨーク市警、
疑惑の株式取引会社CEOが事件にかぶさってくる。

そしてこの番組ジャックは刻々と全世界に同時に発信され、
投資家のみならず一般の人々の共感を獲得し始める。
報道の自由と公平を実際に目の当たりに証明するテレビスタッフの心意気。
人質・爆弾犯罪の解決法を貫き通す警察権力のこだわり。
株取引のギャンブル性を端的に表現する犯人の生き方。
若者は同時に大きすぎる富の格差も告発していた。
企業の倫理など気にもかけない経営者の傲慢。
企業の良心を貫こうとするエリート社員の純粋。
そして、
それでも何事もなかったように賑わいの絶えない財テクに精出す人々。

番組MCがいくら「人生の星取表」で比較してみても、
富の格差の絶望は解消できなかった。