ヒトラーのための虐殺会議 (2022)

文字数 684文字

【戦争責任の取り方】2023/3/14


ドイツのテレビドラマを劇場公開した日本、ヒトラーシネマに執着するマニアがいるからに違いない、例えば僕のような。

ヒトラーの名前を担いだ大仰な邦題だけど、オリジナルタイトルのヴァンゼー会議の本質であるヒトラー総統の狂気を言い表しているのも事実だ。
1942年親衛隊主催で開かれた会議、ヴァン湖に面した親衛隊ゲストハウスで決められたのはユダヤ人最終処分についてだった。
ナチス政権の要職にある官僚と親衛隊幹部15名が1100万人のユダヤ人を欧州から一掃する計画を決めていく、ただそれだけの内容であるが、当時の議事録を忠実に再現している几帳面さに驚かされる。

メンツをかけて親衛隊の理不尽に抵抗してみても敵わぬ官僚エリートたち、あれよあれよという間に基本政策が決まっていく。そこに共通するのはユダヤ人を地上から消し去るという信念だった。 銃殺から、ガストラックを経て、大規模ガス室収容所建設へと議論が進む中、彼らが懸念するのはドイツ国民の精神状態だけという強烈な皮肉が生真面目に描かれている。

軽食を挟んだ短いながらも重大な会議の一部始終、首謀者ハイドリヒの穏やかな説得力が冷酷な史実と際立っていた。

それにしても、
今に至っても、ドイツはナチスの暴虐をさらけ出すのか、本作のように血の匂いのしない会議という形としても?
それにしても、
会議の議事録を今に至るまで保存しそれを一言一句そのまま映像にするというドイツの律義さは何処から湧いて出るのか?

ドイツの決意、永遠にナチスを反省し戦争責任を終わらせない決意を僕は感じ取るだけだった。
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