トゥルー・グリット (2010)

文字数 880文字

【今必要なのは「ガッツ」】2011/3/25



大災害、電力不足、放射能汚染 ・・・セミパニックの状況下、
劇場で観るシネマ。
こんなときにシネマ? ・・・
でもストレスもたまってるし劇場も懸命に上映するんだろうに?
罪悪感と限りないシネマへの愛との葛藤の果て、シネマ愛が打ち勝った。

そして本シネマは不屈の少女の物語。
タフでなければ生きていけない、筋を通さなければ生きていても仕方がない・・・
そんな少女の活躍に観ている僕はこの異常事態のなかで
「勇気」をちょっぴり注入された気がした。

ストーリー自体は、父親の仇討ち少女とその助太刀オヤジ達の葛藤という
極めてクラシックなのだが、
そこはそれ、コーヘン兄弟らしい恐怖感情創出と相対するブラックユーモアが功奏している。
正論を説く少女に苦笑いするしかなく振り回される助太刀の保安官(ジェフ・ブリッジス)、
自己陶酔傾向の追加助太刀テキサス・レンジャー(マット・デイモン)も同様に
翻弄される展開のなか 大人たちはこの少女のガッツに魅了されていく。

これが本シネマの本流であろう。
その本流に流れ込み、流れ出ていく支流とも言うのがのが父の仇とその仲間、
本流と支流のバランスが見事に調和している。
仇役(ジョッシュ・ブローリン)のいかにもの粗悪人間さ、
アウトローリーダー(バリー・ペッパー)のクールな男気などは
本作の勧善懲悪一辺倒を微妙に解毒していた。
西部開拓時代における法の実態である「勝てば正義」を
改めて認識できた様な気になったものだ。

・・・と、感想をまとめていたら、なんだこれは俳優のお手柄に違いないと気づいた。
「アカデミー俳優がなんぼのもんじゃい!」
のような言葉は本作では禁止だ、名優たちのコンペを愉しむべし。
幾分えこひいきになるが、出番は短かったバリーペッパーが印象的だった。
リーダーたるものかくあるべしだった、ただ彼は法の向こう側にいたのであるが。

老婆心:
バラエティに富んだアクションシーンが目白押しだ。
凄惨なカットも多いし、血もドバッと流れる。
その底辺に謳われているのが不屈の精神、
もしかしてよいタイミングで本作を観たのかもしれない。

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