一度も撃ってません (2019)

文字数 816文字

【お洒落な仲間でワイワイガヤガヤ】 2020/7/7



酒の席での発案企画だった(桃井さんからの)というこぼれ話すら、
すでにエキサイティングな異色の仲間愛シネマだった。
石橋蓮司さん初主演作というところが泣かせるが、キャスティングは
豪華絢爛、楽屋落ち満載の微笑ましさが一杯だった。
こんなシネマ、僕は好きだ。

荒筋とオチは一筋縄では説明できないし、一応シネマの肝でも
あるから説明もしないけど、小難しいこともなくて心に優しい。

売れなくなった純文学作家がハードボイルド小説に没頭するものの
全く出版社に相手にされないまま74歳になっている。
担当編集者も定年、親友も脳腫瘍、馴染みのBARも閉店
…という人生の黄昏時にジタバタする主人公作家。
こんな団塊世代御用達のような内容を、そうそうたる坂本組役者が嬉々として演じていた。

大楠道代(妻)、岸部一徳(親友)、桃井かおり(元ミュージカルスター)、
佐藤浩市(編集長)、寛一郎(後任の編集者)、
柄本明(組長)、豊川悦司(組のヒットマン)、江本佑(売人)、
妻夫木聡(フリーのヒットマン)、井上真央(その恋人)、
江口洋介(詐欺師)・・・・・などなどその他にもいっぱい。

彼らの勢ぞろいだけを愉しむだけでも本シネマの価値はあるが、
石橋さんの名誉のために言っておくが初主演はピシャリと決まっていた。
時代錯誤の後期高齢者一歩手前のこだわりの生き様、
まるで自分のことのように思えて愛しかった。

佐藤浩市、寛一郎の
「いまどきハードボイルドはいけてないのにハードボイルドにもなってない」などの親子口論、
桃井かおりが歌うサマータイム、
二人のヒットマンのずっこけ具合、
あくびしてたカメオ出演の杉良太郎(と思ったけど)、
いまどきの若手俳優がお好きな向きにはつまんないかもしれないが、
ハードボイルド大好きの僕にはたまらなく懐かしい想いに包まれたものだった。

パイソン357を握って渋い立ち振る舞いの石橋さん、イブ・モンタンでしたね。
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