ニュースの真相 (2015)

文字数 660文字

【マスメディアの脆弱さ】 2016/8/9



アメリカCBSテレビ「 60 Minutes」の名アンカーマン、ダン・ラザーが
降板する結果になった「ブッシュ大統領軍歴詐称」スクープを再現している。
ダン・ラザーを父と慕う番組プロデューサー、
メアリー・メイプスの報道人魂が本シネマの核となる。
演じるのはロバート・レッドフォード(ダン)、ケイト・ブランシェット(メアリー)、
この二人の名優に逢えるだけでも本シネマの価値はある。

ブッシュ大統領再選の真っただ中で持ち上がった「軍歴詐称疑惑」、
現在では常套手段となってしまったいわゆるネガティブキャンペインなのだろう。
その特ダネを選挙前に報道することに正義を見出した報道チームの切り札は
降ってわいたように出てきた証拠書類。
証拠能力を敢えて軽視して放送した後、
証拠捏造の逆襲に揺れ動く、メアリー達の苦悩が切なかった。

彼女は「捏造の事実とか、作り手の政治的立場を問題にするより、
    大統領の人間性を疑うべきではないか?」と主張する。

時まさに共和党次期大統領候補トランプ氏の人間性を疑いたくなる今において、
その論点は正しくピュアでもある。

しかし、現役大統領への反発が許されないというアメリカネオコンの心情、
それに加えて、マスメディアの権力側への擦り寄りに、報道人の魂は打ち砕かれてしまう。

言論の統制、抑圧など簡単にできることを本シネマは教えてくれる。
それは現在日本においてもあからさまに進行している恐怖でもある。
僕にできることはそんなに多くはないことにも気づき、
少し絶望に近づいてしまった。

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