アラビアンナイト　三千年の願い　（２０２２）

【戦争廃絶、ウィルス予防、富の格差解消】　2023/4/11


邦画タイトルにある「アラビアンナイト」も予告編になった魔法の瓶から出てくる大男も、観終わってみると予断のためのこざかしい細工だった、あまり褒められない。

だいたい魔法のランプエピソードはアラビアンナイトには含まれてもいなかったらしい、
とはいえ映像はアラビア風味満載であり、「三つの願い」という魅惑的キーワードに感慨深くになるのは、やはりモチーフが長く語り続けられた寓話だからなのだろう。

シネマの観どころは二つ、
ひとつは3000年間呪いをかけられ小さなスペース（ランプや水差し）に閉じ込められていた魔巨人の愛と冒険噺、まさにアラビアンナイトの世界だけど、何やらジョ-ジ・ミラー監督のお好きそうなシークエンスばかり、たいした意味もなかった。
もうひとつは、恋人に裏切られ孤独な人生に耐えナラトロジー（物語論）研究ひとすじの今を生きる女性が、魔巨人に出逢うという愛情噺だ。
女性研究者が寓話と科学的合理性のはざまで揺れる、結局は愛情を信じることで3000年の時を駆けたお噺はメデタシメデタシとなる。

彼女が魔巨人にお願いした三つのお願いはあまりにも陳腐、別れの原因となる現代の都市環境だという取ってつけたような地球文明論も薄っぺらい。
せっかくのティルダ・スウィントン起用の意味がなかった。

もし　三つの願いが叶うのならば、戦争廃絶、ウィルス予防、富の格差解消　でしょう。