ガントレット (1977)

文字数 882文字

【デカの一分】 2007/2/1



うらぶれたハリー・キャラハンをイメージさせる刑事と
高学歴の美人娼婦のコンビを、
クリントといまや美貌真っ盛りのソンドラ・ロックが演じれば、
結構良いラブロマンスが描けるのに、やはりアクションですかね、クリント。

二人は警察に追われ、
爆弾を仕掛けられ、
包囲されて銃撃、
ヘリコプターから狙撃
そしてタイトルにもなった
列の間を銃撃されながらガントレットの刑に処せられる。

僕には早くからプロットが見えてしまう。
「真犯人はあいつだっ!」というひらめきは、しかし本シネマでは重要では無い。
さらに付け加えると、工夫されたガンアクションシーンすらも意味を持たない。
誤解されないようフォローすると、
ラストのガントレット銃撃シーンは、
それはそれで歴史的超ど迫力撮影シーンと評されるべきだとは思っているけど。

繰り返しになるが、
シネマの論理に基づいても全ての銃撃シーンにはリアリティは無いし、
そもそも事件そのものがファンタジーなのである。
本シネマのテーマは
「職業としての刑事」の意地であり、
「職業としての娼婦」の誇りである。
刑事には「法を守らせることで給料がもらえることに気づいた・・・」
とわざわざ言わしめている。
娼婦(ソンドラが娼婦に見えないのが難点だけど)には、
精神の自由と純潔を語らせている、これもわざわざ。

シネマ作法で饒舌を嫌うクリントにしてはまれなことである。
この二人は、各々の生きている基盤(最近では一分というらしいが)を、
命に代えても貫こうとする。
一分を貫くには、大きな抵抗があるし、苦難があるからこその、一分の価値でもある。

ガントレットシーン(数万発の銃撃)は最後の試練を象徴するものであり、
リアリティの欠如は ”さもありなん” と言うべきか。
翻って、ガントレットに突入する前に娼婦が刑事にプロポーズするアイデアは、
最初お伽噺のように感じられたが、
観終わってみると、この二人なら実感として祝福できそうだ。

なんのことはない、結局うわさの二人のラブロマンスシネマでありました。
スーパー刑事のイメージをあっさり捨てる。さすが進化し続けるクリントならでは。
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