キャリー (1976)

文字数 445文字

【鋭くも意地悪い デ・パルマ】 1978/1/25


超能力シネマブームを締めくくる一本として、十二分に強烈だった。

たわいもない、それでいて構成のしっかりしたエスパー譚として、よくできたホラーシネマと受け取りながら観ていた。
しかし、キリスト教の教えが、折に触れ挟み込まれてくるに至って、念仏者の僕にははかり知ることのできない恐怖を推察するのみになる。
デヴィル、魔女で代表される異端の存在がじわじわとシネマを覆いつくす、キリスト教信者にとってその悍ましさはいかばかりか。
エスパーたる悪魔の申し子(本人にはその罪はないのに)が神の力で滅びるという結末であったら、まだしも良質のホラーシネマという在り来たりの印象で終わるところ、意地の悪いブライアン・デ・パルマは更なる仕掛けに挑む。
ラスト・シーンでキャリーを真の悪魔にしてしまう。

エンドマークを予期していた時に訪れたあの衝撃に、僕は文字通り椅子から飛び上がった。
超能力を持った少女の悲劇などではなかった・・・こわ~~い。

(記:1978年1月25日) 
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