ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~ (2017)

文字数 723文字

【待ってました! 本格的料理シネマ】 2017/11/4



興味はなんといっても、滝田監督と二宮さんの化学反応だった。
イーストウッド監督との「硫黄島からの手紙」、山田監督との「母と暮らせば」で見せてくれた俳優力の進化、さて、今回はどうだったか?

まずは僕の個人的好みである料理がシネマのテーマだったことは、なんともうれしかった。
それも本格的料理製作の真正面から立ち向かう姿勢、なおかつ細部に至る丁寧さは滝田シネマの真骨頂だろう。
近年海外発の料理シネマに接するたびに、日本でどうして料理シネマがつくられないのかと歯ぎしりしていた。
例えば、「マダム・マロリーと魔法のスパイス(2014)」、「シェフ三ツ星フードトラック始めました(2015)」、「二つ星の料理人(2015)」 のような料理作りがシネマの真ん中にデンと居座っているシネマを観たいものだと思っていた。

本シネマでは、その願いを一気にかなえてくれる「日本帝国食彩全席」というスーパー料理を取り扱っている、感激だ。星の数などではなく世界に唯一無比のレシピが、そのテーマとなっている。だからなのか 物語はミステリー展開だけどもその謎は誰にでも途中で解けてくるという親切な筋書だった。

それでは、二宮さんと滝田メソッドはどう反応作用したのか?
山田洋次メソッドの様式美から解き放たれた二宮さんが、そこにいた。
ほとんどのセリフは短く、クローズアップの表情ばかりを求められた、かなり難関だったろう。
その「静」の演技がしっかりと伝わってきた、新しい演技境地だったことだろう。

物語は、実は満州時代のシーンが多い、その分現代のシーンは少ない。
短い、そして動きのない演技構成に感服した。
これからが一層楽しみになってきた。
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