【湿気た花火~拾捌~】

文字数 558文字

 実のことをいえばあと二週間弱で本番だったりする。

 参加している団体にもよるが、基本的に芝居の稽古というモノは本番の二週間前くらいになると集中稽古が始まる。それまでは大体週1~3で行われていた稽古が、集中稽古になるとほぼ毎日になるのが殆どだったりする。中には土日は休みで平日のみの集中稽古という場合も存在するが、その場合は大抵、平日に十時間前後、稽古場に缶詰めになって稽古し続けることが多く、肉体的にも精神的にもかなり疲弊する。

 今回、参加する団体は後者ーーつまりは平日に長丁場の稽古をするタイプの集中稽古のスタイルだった。慣れればどうにかなる、というモノでもないが、やるしかないのはいうまでもない。その代わり、土日はしっかりと身体を休ませる余裕があるので、どっこいどっこいといえばそうかもしれない。

 土日が休みーーこれはおれにとってあることを思い起こさせた。

 『外夢祭』、行けるじゃん。

 花火こそないが、行こうと思えば『外夢祭』に行く時間は全然ある。今更行ったところで何があるのかといわれればその通りかもしれない。だが、おれはちょっとした散歩がてらでもいいから行ってみようかという気になっていた。理由はわからない。

 ただ、おれは追い掛けているのかもしれないーー過去の幻影を。

 湿気た花火でない頃の自分を。

 【続く】
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み