【ナナフシギ~漆拾玖~】
文字数 761文字
昼間の青空はまるで空虚だった。
祐太朗はこころここにあらずといった様子だった。はやる気持ちに対して、時間というのは無情にも遅く感じられる。詩織と和雅は昨日何事もなかったかのようにふたりで戯れていた。祐太朗はそんなふたりとは真逆。ひとりでせかせかとしていた。
エミリの家に電話を掛けてみた。結果はやはり帰っていないとのことだった。いなくなったことは既に警察に通報しているとのことだった。エミリの母は相手が小学生ということもあって、丁寧に優しく接してくれていたが、その口調には悲しさややりきれなさ、苦しさが含まれているのは明らかだった。
悪ガキ三人の家にも電話を掛けたが、三人が三人、友達の家に泊まりに行くといったこともあって、親たちはそんな大事とは捉えていなかった。親の間の挨拶もしなければならないだろうが、本当は人の家になど泊まらないのだから、誰の家などと伝えていないのだろう。まぁ、あっけらかんとしているのもいれば、まあまあ心配といった様子の人もいた。
祐太朗はそれから寝た。また長い戦いになる。それならば昼間でもゆっくり寝て、昨日の肉体的な疲れを少しでも取って、夜しっかりと動けるように睡眠を取っておく必要があった。寝付くのには多少の時間がかかったが、寝てしまえば後は早かった。起きた時には夜の七時になっていた。
詩織と和雅は既に寝ていた。いつもはまだ起きているふたりが何故。
祐太朗が自室を出てリビングに行くと、そこには岩淵が待っていた。
「遅いお目覚めですね、坊っちゃん」祐太朗は岩淵に何もいわなかった。「お嬢様と下の坊っちゃんはご飯に混ぜた睡眠薬でぐっすりと眠っておりますのでご安心を」
「随分と慣れてるんだな。昔そんなことしてたんじゃねえのか?」
岩淵は不敵に笑うばかりだった。
「さて、行きましょうか」
【続く】
祐太朗はこころここにあらずといった様子だった。はやる気持ちに対して、時間というのは無情にも遅く感じられる。詩織と和雅は昨日何事もなかったかのようにふたりで戯れていた。祐太朗はそんなふたりとは真逆。ひとりでせかせかとしていた。
エミリの家に電話を掛けてみた。結果はやはり帰っていないとのことだった。いなくなったことは既に警察に通報しているとのことだった。エミリの母は相手が小学生ということもあって、丁寧に優しく接してくれていたが、その口調には悲しさややりきれなさ、苦しさが含まれているのは明らかだった。
悪ガキ三人の家にも電話を掛けたが、三人が三人、友達の家に泊まりに行くといったこともあって、親たちはそんな大事とは捉えていなかった。親の間の挨拶もしなければならないだろうが、本当は人の家になど泊まらないのだから、誰の家などと伝えていないのだろう。まぁ、あっけらかんとしているのもいれば、まあまあ心配といった様子の人もいた。
祐太朗はそれから寝た。また長い戦いになる。それならば昼間でもゆっくり寝て、昨日の肉体的な疲れを少しでも取って、夜しっかりと動けるように睡眠を取っておく必要があった。寝付くのには多少の時間がかかったが、寝てしまえば後は早かった。起きた時には夜の七時になっていた。
詩織と和雅は既に寝ていた。いつもはまだ起きているふたりが何故。
祐太朗が自室を出てリビングに行くと、そこには岩淵が待っていた。
「遅いお目覚めですね、坊っちゃん」祐太朗は岩淵に何もいわなかった。「お嬢様と下の坊っちゃんはご飯に混ぜた睡眠薬でぐっすりと眠っておりますのでご安心を」
「随分と慣れてるんだな。昔そんなことしてたんじゃねえのか?」
岩淵は不敵に笑うばかりだった。
「さて、行きましょうか」
【続く】