【ガイキチ死すべし】

文字数 2,790文字

 最近の土日は時間が過ぎるのが早すぎる。

 これは単純に自分が年を取ったからなのかもしれない。この、年を重ねるごとに年月が過ぎるのが早く感じるようになるのを『ジャネーの法則』といい、しかも、これが気のせいでもないのだというから、困ったもんだ。

 とはいえ、逆に時間がやたらと長く感じられることもあるわけで。ただ、そんな感じに時間の流れがやたらと長く感じられたのはいつ以来だろうと考えてみると、多分、それも四年前が最後だった。まぁ、四年前に何があったといわれれば、クソみたいな座組で芝居をしなければならなくなり、精神的にダウンしたというだけなのだけど。

 加えて、同様に時間がやたらと長く感じた期間といえば、やはり、中学三年の時の体育祭応援団長を務めていた時がそうだろう。

 さて、昨日の続きである。あらすじーー「五条氏、役に立たなすぎてとうとう団員の金田にガチギレされ、落ち込む」

 ほんと、二行程度で書き切れるものを二千字近く掛けて書くって正気の沙汰じゃねえよな。

 あまり下らないことを書いていると、それだけでボリュームが増しちゃうんで、さっさと本題にいくけど、まぁ、金田のひとことはナイーブなガイキチの中三五条氏にはかなりの大打撃でして、もう応援団長なんかやりたくないと本気でイヤになってしまったのだ。

 まぁ、その全体練習がちょうど金曜に行われ、土日を挟んだから気分は落ち着いたかと思いきや、まったく落ち着かない。

それもそうで、当時は中三、受験生ということもあって塾に通い、ピリピリした雰囲気の中にいたのだ。土曜も朝から夜まで勉強で気は休まらないし、日曜はオフではあったけど、贅沢な話、何もないからこそ逆に意識が応援団長のほうへ向いてしまう。

 映画や音楽、小説にゲームとあらゆる手を使って気を紛らそうとしても、全部空振り。頭の中では金田のあのセリフが回転している。

 仮におれがド変態マゾヒストだったら、金田のひとことに感じてしまっていたのだろうけど、残念ながらそうはならず、マジで思い悩んでしまっていた。

 辞めるーー何度もそう考えては、考え直しというのを繰り返し、最終的に担任のブタさんにやる気をなくしたとだけ伝えて辞めるか、となったのだ。

 翌日の昼休み、おれは職員室へいき、担任のブタさんを訪問したのだ。ブタさんはおれの訪問の意図を予想もしていなかったのか、贅肉だらけの顔にシワを寄せ、顔で疑問を呈していた。んで、おれは前置きも抜きにいったのだーー

「悪いけど、応援団長辞めるんで。よろしく」

 まぁ、実際はこんなフランクな言い方ではなく、まぁ、色々あったのでこんな感じに落としたけど、実際は、もっと酷かったのだよ。

 それはさておき、おれの辞意を耳にしたブタさんは明らかにマズイと思ったのか、踵を返して職員室を後にしようとしたおれを引き止め、隣の会議室へ来るようにいったのだ。

 尚もおれは、話すことは何もないし、やりたくないので続ける気もないと伝えて帰ろうとしたのだけど、ブタさんがあまりにも説明を求めるので、非情になり切れなかったおれは大人しく会議室へ向かったのだ。うーん、ダサい。

 まぁ、そんな感じでブタさんと会議室でふたり切りになったのだけど、そういうビデオにありそうな展開には間違ってもならず、おれがどうして団長を辞めようとしているのか親身な雰囲気を醸し出しながら訊ねてきたのだ。

 まぁ、このままではまた、いうまで帰さないみたいな展開になりそうだったんで、仕方なく話しましたわ。ただ、「とある人に、こういうニュアンスのことをいわれてやる気をなくした」とかなり話はぼかしたんだけど。

 当然、金田の名前も出さずに、だ。何故かはわからないけど、金田の名前は出せなかったのよね。別に先輩と繋がってたとはいえ、その人たちももう卒業していたし、金田のことが怖いとか思ったこともないし、この時点でも怖いと思ってなかったからな。

 でも、何故か金田の名前は出せなかった。今考えると何でなんだろうね、とも思うんだけど、まぁ、おれも甘っちょろい人間ですから。チクりみたいな形で金田を売るのに抵抗があったんじゃねぇの?

 すべてを話終えると、ブタさんは、

「今日の会議は出なくていいから、家でゆっくり休みなさい。欠席理由は体調不良、ってことにしとくから」

 といわれ、その日の会議は欠席することとなったのだ。まぁ、体調不良で休むんで堂々と、「今日休みまーす!」とかもいえないんで、この話は内密に、となったのだ。

 とはいえ、学校が終わっても塾があるんで、家でゆっくりなんかできないんだけどな。ま、それは関係ないんでどうでもいいんだけど。

 放課後、謎の解放感を胸に学校を出て、家に帰り、すぐさま塾へいって勉強を始めたのだ。当然、塾にはおれのクラスメイトもいるわけで、「あれ、会議はいいの?」といわれたのだけど、正直に「ブタさんが今日は休みなさいだって」といってその場を凌いだわけだ。

 まぁ、何でブタさんがそういったのかって疑問もあったようだけど、そこはわからないと答えたけどな。普通に考えたら、責任ある立場でありながら、担任に「休め」といわれてるとか、何かあったとしか思えないけどな。今考えると、ほんと思考がお子さまだわ。

 でも、そんな話題も出てきたせいか、今、会議がどんな感じなのかと気になってしまい、勉強に集中できなくなってしまったのも事実で。

 プラス、その塾には外山も通っていて、塾にきた外山に、

「あれ、体調は大丈夫なの?」

 といわれ、おれもそれに対して「団長を辞めるかも」と答えると、外山も驚いた後少し考え、「無理はするな」といって話は終わったのだ。が、それが逆に、自分の中にモヤっとしたものを生じさせたワケだ。

 それからというもの、応援団長のことや、応援団のこと、応援団員のことばかり考えてしまい、シャーペンもノートの上を全然滑らず、気づいたら、塾も終わっていたのだ。

 夜、虫の音が鳴り響く中、塾から出て携帯を確かめると、一通のメールが届いていまして、誰だろうと中身を確かめると、キャナからだったんだわ。内容はーー

 ーー体調、大丈夫か? とりあえず、……とこんな感じで話は纏まったから、ゆっくり休んで、明日からまた頑張ろうぜ!

 これには困ってしまった。おれは、団長を辞めようと思っているのに、こういわれてしまっては……、おれは一体どうすればいいのだ。

 と、まぁ、今日はここで終わり。うーん、予定を大幅に超えて話が長くなってる。一体、あと何回でこの話は終わるのか。マジで一回に纏めようとしなくてよかったわ。

 長くなったんでまた次回ーーじゃ、また。
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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