【黄金で昇天、お陰で蒼天】
文字数 2,393文字
喧嘩両成敗ということばがある。
早い話が、ケンカしたヤツは仕掛けた側も仕掛けられて乗った側も悪いという意味で、かつては「争うこと自体許さない。共にバツを与える」といった意味だった。
今の世の中ではそういった考え方は希薄になり、問題があれば、「どちらが悪いか」、「どちらが先に仕掛けたか」を争点に、問題解決を目指していくのが普通ーーいや、それすらも今は薄くなっているだろうか。
とはいえ、時には逆襲した被害者にも、逆襲された加害者にも思わず同情してしまう場面もある。それは互いのケンカの果てに、どちらも悲惨な目に遭った場合だ。
そもそも逆襲は被害を食い止めるためにやる可能性だってあるワケだ。
やられっぱなしは相手を付け上がらせるばかりだ。そうなれば、相手は飽きるどころか、攻撃をエスカレートさせてくる。
だからこそ、やるべき時にはやらなければならないのだけど、結果として、どうにも居たたまれないような状況に陥ることも時にはある。
かくいうおれは、ケンカは殆どしない。殴り合いも多分数えるほどしかしたことがなく、少なくとも武道の稽古以外で人を殴ったのは、高校時代が最後だったと思う。
さて、今日はそんな「喧嘩両成敗」の末、どうにも居たたまれない気分になってしまった話をしていこうと思うーー
あれは小学校五年生の時だった。
その当時のおれはクラスでもワースト二に入る程の成績の悪さで、もはやお前の将来が心配だよって感じで、今でも付き合いのある春樹と給食の度に黒猫の絵本を取り出して来てはーー
「おい、ブラックキャットが銀のスプーンを齧ってるぜ! ムシャムシャ……うめぇなぁ!」
とか、どうしようもない話題でゲラゲラ笑う程には頭が可笑しかった。
まぁ、この当時のクラスメイトといえば、春樹の他にキャナ、健太郎くん、グッチョン、勝明と今でも定期的にリモートで飲むメンバーが揃っていて、ある意味、今のおれのベースはここら辺で構築され出したといって過言でない。
さて、ここで重要な人物を忘れていることに気づいた人は、多分、この駄文集をちゃんと読んでいる人だと思うーーこんな文章読む暇があったら、もっと有意義なことに使いなさいよ。
と、それはさておき、その重要な人物というのは、そうーー
あっちゃんである。
あっちゃんに関してはもはや説明はいらないと思うのだけど、敢えて説明しておくと、おれが小学校に入って最初にできた友人であり、トラブルメーカーであり、その後、高校卒業まで同じ学校で付き合いのあった男だ。
そう、このクラスにはあっちゃんもいたのだ。マジでこのクラスの編成イカレてんだろ。
まぁ、この当時のあっちゃんも人にちょっかいを出して反撃されると逆ギレするという非常に厄介というか、自分の襟元を正せよといいたくなるような人だった。人に仕掛けて反撃されたらキレるって、相当たち悪いよな。
そんなこともあって、あっちゃんは担任をはじめ、色んな人を怒らせまくってきたはいいんだけど、その悪運が尽きたかのように、ある日、事件は起こった。
とある四限終わりのこと、授業を終え、みんな給食の準備に取り掛かり始めていた。
そんな中、教室の後方がやけに賑やかだった。騒がしいほうへ目を向けると、どうもまたあっちゃんが誰かに因縁をつけているらしかった。目を凝らして見ると、あっちゃんに絡まれていたのは、古村という女子だとわかった。
古村はお転婆娘というワードがこれでもかというくらいにピッタリで、まる子ちゃんを実写化して更に酷くしたみたいな感じだった。
オマケに気が強く、普段はちゃらんぽらんでワケのわからない言動を繰り返しているのだけど、何か面倒ごとが起きるとしっかりと噛みついてくるような性格の持ち主だった。
そんな古村とあっちゃんがケンカしていた。おれは自分の作業をしながら、何となくふたりの会話に聞き耳を立てていた。
聴こえた限りの断片的な情報によると、何でもあっちゃんが係の当番だか何かで古村に文句をいったらしかった。
まぁ、今考えればしょうもないことなのだけど、その当時は学校こそが自分たちの社会であったこともあって譲るに譲れなかったのだろう。気持ちはわからないでもない。
ただ、問題はその後だった。
あっちゃんが古村を「ブース!」と詰り始めたのだ。
これはよろしくない。容姿なんて所詮は個人の主観でしかない。そもそも女性に対する容姿イジリがセクハラになる現代から考えると完全にアウトーーまぁ、時代と小学生のいったことというエクスキューズがあるにしろ、やはりこの発言が問題だったのはいうまでもない。
それもあって古村も激昂、目に涙を溜めながら、「うるせぇんだよ!」といって、
あっちゃんの金○を思い切り蹴り上げたのだ。
もう、これにはおれも思わずおれの玉もヒュンとしたのだけど、肝心のあっちゃんも「ヴッ!」とか呻いて股間を押さえながら蹲ってしまったのだ。
もう大惨劇だった。
それからは古村もあっちゃんも「ヴォーッ!」みたいな勢いで泣き出してしまい、当時担任だった大沢先生もふたりを宥めようとはするモノの、もはやどっちが被害者でどっちが加害者なのかわからない状況で、収拾がつかなくなってしまったのだ。
それから何とかふたりのケンカを止め、給食を食べ始めたのだけど、結局、あっちゃんと古村は傍らのランチが乗った皿には一切手をつけることなく、給食中も泣き続け、クラス中が何とも微妙な空気に飲まれたのでした。
まぁ、あっちゃんも古村も五時間目には何とかなってたからよかったモノの、やっぱ人の容姿をバカにするのも、金○を蹴り上げるのも良くないよなぁ、と思ったのでした。
女性の皆さんも、相手が痴漢や変態でもない限り、男の玉を蹴り上げるのは止めましょう。
勿論、容姿を笑うのは論外でな。
アスタラビスタ。
早い話が、ケンカしたヤツは仕掛けた側も仕掛けられて乗った側も悪いという意味で、かつては「争うこと自体許さない。共にバツを与える」といった意味だった。
今の世の中ではそういった考え方は希薄になり、問題があれば、「どちらが悪いか」、「どちらが先に仕掛けたか」を争点に、問題解決を目指していくのが普通ーーいや、それすらも今は薄くなっているだろうか。
とはいえ、時には逆襲した被害者にも、逆襲された加害者にも思わず同情してしまう場面もある。それは互いのケンカの果てに、どちらも悲惨な目に遭った場合だ。
そもそも逆襲は被害を食い止めるためにやる可能性だってあるワケだ。
やられっぱなしは相手を付け上がらせるばかりだ。そうなれば、相手は飽きるどころか、攻撃をエスカレートさせてくる。
だからこそ、やるべき時にはやらなければならないのだけど、結果として、どうにも居たたまれないような状況に陥ることも時にはある。
かくいうおれは、ケンカは殆どしない。殴り合いも多分数えるほどしかしたことがなく、少なくとも武道の稽古以外で人を殴ったのは、高校時代が最後だったと思う。
さて、今日はそんな「喧嘩両成敗」の末、どうにも居たたまれない気分になってしまった話をしていこうと思うーー
あれは小学校五年生の時だった。
その当時のおれはクラスでもワースト二に入る程の成績の悪さで、もはやお前の将来が心配だよって感じで、今でも付き合いのある春樹と給食の度に黒猫の絵本を取り出して来てはーー
「おい、ブラックキャットが銀のスプーンを齧ってるぜ! ムシャムシャ……うめぇなぁ!」
とか、どうしようもない話題でゲラゲラ笑う程には頭が可笑しかった。
まぁ、この当時のクラスメイトといえば、春樹の他にキャナ、健太郎くん、グッチョン、勝明と今でも定期的にリモートで飲むメンバーが揃っていて、ある意味、今のおれのベースはここら辺で構築され出したといって過言でない。
さて、ここで重要な人物を忘れていることに気づいた人は、多分、この駄文集をちゃんと読んでいる人だと思うーーこんな文章読む暇があったら、もっと有意義なことに使いなさいよ。
と、それはさておき、その重要な人物というのは、そうーー
あっちゃんである。
あっちゃんに関してはもはや説明はいらないと思うのだけど、敢えて説明しておくと、おれが小学校に入って最初にできた友人であり、トラブルメーカーであり、その後、高校卒業まで同じ学校で付き合いのあった男だ。
そう、このクラスにはあっちゃんもいたのだ。マジでこのクラスの編成イカレてんだろ。
まぁ、この当時のあっちゃんも人にちょっかいを出して反撃されると逆ギレするという非常に厄介というか、自分の襟元を正せよといいたくなるような人だった。人に仕掛けて反撃されたらキレるって、相当たち悪いよな。
そんなこともあって、あっちゃんは担任をはじめ、色んな人を怒らせまくってきたはいいんだけど、その悪運が尽きたかのように、ある日、事件は起こった。
とある四限終わりのこと、授業を終え、みんな給食の準備に取り掛かり始めていた。
そんな中、教室の後方がやけに賑やかだった。騒がしいほうへ目を向けると、どうもまたあっちゃんが誰かに因縁をつけているらしかった。目を凝らして見ると、あっちゃんに絡まれていたのは、古村という女子だとわかった。
古村はお転婆娘というワードがこれでもかというくらいにピッタリで、まる子ちゃんを実写化して更に酷くしたみたいな感じだった。
オマケに気が強く、普段はちゃらんぽらんでワケのわからない言動を繰り返しているのだけど、何か面倒ごとが起きるとしっかりと噛みついてくるような性格の持ち主だった。
そんな古村とあっちゃんがケンカしていた。おれは自分の作業をしながら、何となくふたりの会話に聞き耳を立てていた。
聴こえた限りの断片的な情報によると、何でもあっちゃんが係の当番だか何かで古村に文句をいったらしかった。
まぁ、今考えればしょうもないことなのだけど、その当時は学校こそが自分たちの社会であったこともあって譲るに譲れなかったのだろう。気持ちはわからないでもない。
ただ、問題はその後だった。
あっちゃんが古村を「ブース!」と詰り始めたのだ。
これはよろしくない。容姿なんて所詮は個人の主観でしかない。そもそも女性に対する容姿イジリがセクハラになる現代から考えると完全にアウトーーまぁ、時代と小学生のいったことというエクスキューズがあるにしろ、やはりこの発言が問題だったのはいうまでもない。
それもあって古村も激昂、目に涙を溜めながら、「うるせぇんだよ!」といって、
あっちゃんの金○を思い切り蹴り上げたのだ。
もう、これにはおれも思わずおれの玉もヒュンとしたのだけど、肝心のあっちゃんも「ヴッ!」とか呻いて股間を押さえながら蹲ってしまったのだ。
もう大惨劇だった。
それからは古村もあっちゃんも「ヴォーッ!」みたいな勢いで泣き出してしまい、当時担任だった大沢先生もふたりを宥めようとはするモノの、もはやどっちが被害者でどっちが加害者なのかわからない状況で、収拾がつかなくなってしまったのだ。
それから何とかふたりのケンカを止め、給食を食べ始めたのだけど、結局、あっちゃんと古村は傍らのランチが乗った皿には一切手をつけることなく、給食中も泣き続け、クラス中が何とも微妙な空気に飲まれたのでした。
まぁ、あっちゃんも古村も五時間目には何とかなってたからよかったモノの、やっぱ人の容姿をバカにするのも、金○を蹴り上げるのも良くないよなぁ、と思ったのでした。
女性の皆さんも、相手が痴漢や変態でもない限り、男の玉を蹴り上げるのは止めましょう。
勿論、容姿を笑うのは論外でな。
アスタラビスタ。