【冷たい墓石で鬼は泣く~捌拾死~】

文字数 596文字

 身体は震えていた。

 恐れ、だったのか。寒さだったのか。風が吹いて寒いのも理解は出来た。身体が弱っているのもわかっていた。休みたい。兎に角自分の身体を休ませたかった。何だっていつもこんな。

 しかし、それはわたしの事情でしかない。

 吹き上がって来る風が止まった。

 来たーー

 刀を抜いた。床を刺した。悲鳴。床下にひとり。刀を引き抜いた。それに合わせてわたしは寝返りを打った。床から刃がはえて来た。はえた刃の元に刀を突き立てた。また悲鳴。怒号。怒号が小屋の回りから聴こえた。

 跳ね上がった。戸が開いて刀を突く形で水平に構えた男がいた。床からはえた刃の平を思い切り叩いてやった。折れた刃ーー飛んでいく。飛んだ刃の破片が男の腹に刺さった。呻き声。うしろ、右、左と壁から刃がはえて来た。全部かわした。まずうしろを刺した。また呻き声。刀を抜いてすぐさま左右の刀の平を叩いてやった。どちらの刀も折れ、破片が床に落ちた。右を突いた。絶叫。左から声が聴こえた。それから駆ける足音と転ぶ音。

 わたしは静かに小屋を出た。周りに亡骸が転がっていた。音のした左へ回った。転んだ男がひとり。ゆっくり近づいた。男がわたしを見て声を上げた。そして命乞いをした。

 男は折れた刀を振り回して悪あがきした。その刀を叩き落としてやった。すると男は身体を丸めて泣きじゃくった。

 わたしは男の首に刀を突きつけた。

「誰の差し金だ」

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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