【一年三組の皇帝~漆拾睦~】

文字数 620文字

 人の挑発に乗るのは基本的に負けたようなモノだとわかっていた。

 挑発に乗った時点で相手のペースに乗る。それはいってしまえば、相手の土俵に自分から足を踏み入れるのと同じだ。つまり、自分のリズムを自ら乱して相手のリズムに無理矢理合わせようとしているワケなのだから、それは勝つのも難しくなってくる。

 でも、だからといって挑発されっぱなしだとずっと舐められっぱなしなのはいうまでもない。何処かでその流れを絶ち切らなきゃならない。人を下に見るヤツは基本的に痛い目を見なければその態度を萎縮させることはない。だから、ぼくはーー

「チェンジだ」

 そういって自分のカードを裏返したまま捨て札の山に置いた。オーディエンスを含む周りのヤツラから驚きの声が響く。関口はニヤリとし、取り巻きたちはぼくの決断を揶揄するような声を上げた。辻はことばを失っていた。これでわかった。自分の捨てたカードはこの中で一番強いカードだったのだ、と。それを証明するように関口がいった。

「いいカードだったのに」

「それくらい周りの反応見ればわかるよ」

「でも、よりによって最強の2を引いてたってのにね。これじゃあ、誰かがカードを入れ替えて、強いカードが来たら負けるリスクが一気に上がる。ねぇ、辻くん」

 辻は不本意そうに頷いた。ぼくのカードが「2」だったというのも本当のことだろう。だけど、そんなことはどうでもいい。もう、終わったことだ。

 ぼくは山に手を掛け一枚引いて前にかざした。

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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