【ナナフシギ~玖拾睦~】

文字数 526文字

 闇が開けた。

 祐太朗は倒れていた。目が覚め、ゆっくりと身体を起こした。そこは体育館だった。だが、暗闇は取り払われていた。にも関わらず明かりもなければ、日の光もない。しかし、視界は開けていた。まるで夜明けごろのようなボンヤリとした明るさが体育館の中に充満していた。

 祐太朗は辺りを見渡した。何もいない。確かにさっきまで巨大でグロテスクな亡霊の集合体がいたはずだ。しかし、それも夢のようにその存在を消してしまっていた。

 夢ーーこれはすべて夢だったのだろうか。

 だとしても、体育館で倒れていたのは何故なのか。もしかして、二度目の夜の学校は全部ウソで、本当は一度目の学校への侵入がまだ続いていたのではないか。だとしたら、もう元の世界に戻るどころか、霊道へ閉じ込められてしまったのでは。仮にこの薄ボンヤリとした明るさが夜明けだとしたら、それもない話ではない。岩淵の姿もないし、それも考えられなくもない。しかし、それにしても霊道だとしたら、そこら辺にうろつく亡霊の姿がまったく見えないのはーー

「まったく、大変だったね」

 突然の声ーー女性のモノだった。祐太朗はハッとして声のしたほうへと振り向いた。そして、大きく目を見開いた。

 声の主は、石川先生だった。

 【続く】

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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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