【湿気た花火~壱~】

文字数 396文字

 水気を帯びた火薬ほど使えないモノはないだろう。

 本来なら有益ーー或いは暴力的ーーな働きをする火薬も水を被ってしまえば、途端に役立たず。クズもいいところだ。

 だからこそ、花火の日の雨は嫌われる。用意していたというのに突然の雨となれば、それはもう嫌われるどころの騒ぎではない。向こう十年は雨の存在を忌避される程度には憎悪されるのがオチだと思ったほうがいい。

 湿気た花火ーー本来なら美しく花開くはずの花火も湿気ってしまえば、役立たずのガラクタ、ゴミクズ、黒いだけの玉に過ぎない。だからこそ、切ないのかもしれない。

 今年でおれも35になる。にも関わらず、おれの人生には一辺の花も咲いていない。おれの花は湿気って枯れてしまっている。もしかしたら、今後咲くかもしれないーーそんなことは間違ってもいえない。

 だが、花は咲かずとも生きなければならないのが人間というモノ。

 だから、ウンザリなのだ。

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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