【湿気た花火~漆~】

文字数 753文字

 ゆとりなんてそんな簡単に作れるモノでもない。

 無理しない、なんていいつつもそうすることは基本的に難しい。何故ならやるべきこと、必要なことはいつだって向こうからやってくるのが殆どだからだ。もちろん、自分からそれを持ち込むこともあるにはある。だが、おれの場合はその持ち込んだモノのせいで肉体的、精神的に破産しかけるのがいつものことだったりする。

 別に頑張り過ぎる必要など何処にもないのだ。にも関わらず、動かんとするのは、おれが二年の空白の時間を過ごしたからだと思う。パニック障害で外に出ようにも出ることが出来なかったといえば尤もな理由にはなるのだが、もっと早く外に出ていたら、寛解も早かったのではないか、と今でも考えてしまう。それなら二年という時間を溶かさずに済んだのではないか、とも。

 今のおれが変に生き急いでいるのは、多分、このパニックで失った二年の溝を埋めんとするためなんだと思う。そして、同時にあの苦しくも何もやることなく虚無的な時間を過ごした時間にちょっとした憧れもあるという。何もしなくていい、駆り立てられることもない、苦しいは苦しいが外で味わわなければならない他人との摩擦、人間関係の不和によるストレスがないのは何よりもいいことだったと今では思う。この世の中、信用するに値しないヤツが多すぎる。そして、煩悩に満ち満ちたヤツも。そういったヤツに付き合っていると、疲れは溜まる一方だ。

 深夜、おれは一階のキッチンで動画を観ながら袋麺を作っていた。昔は夜中に袋麺を作るのもワクワクしたもんだなと思った。夜食なんてそうそう食えるモノではなかったから。今ではそれも普通になりすぎて何とも思わなくなってしまった。虚無的な人生。

 溜め息をつきながら何となくキッチン内の掲示板を見た。

 目を見開いた。

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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