【ナナフシギ~捌拾漆~】

文字数 527文字

 霊魂は基本寄って来るモノだ。

 霊は魅力的な生命エネルギーを感知すれば、そのエネルギーに向かっていく。悪い霊であれば、そのエネルギーを吸収しようとし、そうでない霊であれば、そのエネルギーの持ち主に助けを求めようとする。それ以外の場合はまるでたちんぼのようにその場に立ち尽くしているか、揺れるようにしてそこら辺を徘徊するのが殆どだった。

 そもそもが肉体の危機とは無縁ーーもちろん、自分が死んでいると自覚していない霊が多いこともあって、それを理解していない霊も多いがーーなこともあって、間違っても危機から逃げようとすることなんてない。だからこそ、祐太朗は信じられなかった。

「逃げてるって、たまたまおれらと同じ方向に向かってうろついてんじゃないのか?」

「そうではありません」岩淵はピシャリと否定して見せた。「少なくともわたしたちがそちらに向かおうとする前は、その反応はこちらに向かっていたのです」

 祐太朗は疑問を表情に出した。岩淵は祐太朗の表情を見ることなく補足するようにことばを続けた。

「そして、わたしたちがそちらに向かおうと歩き出した途端、それを察知したように逆の方向へと動き出したんです。わたしたちに追い付かれない早さで」

 祐太朗は声を上げた。

 【続く】
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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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