【湿気た花火~拾肆~】
文字数 566文字
外に出てもそれらしき音は聴こえなかった。
夕方五時、予定では祭りはとっくの昔に始まっているはずだった。だが、やはりそれらしき音は一切聴こえて来なかった。だが、取り敢えず行って見てみることにした。
地区の自治会館は実家から駅へと向かう道を三分ほど歩いたところにあった。駅へと向かう道といっても、駅までは歩いて三十分程度は掛かることもあって、距離的には駅までの十分の一程度でしかないのはいうまでもない。だからこそ、音が聴こえないのは可笑しいワケだ。
懐かしの道を歩き出した。普通に生活していても、まず通らない道だ。駅に向かう道とはいったが、駅への道のりは数パターンあり、この道を使うのは二番目に近い道といって良く、自然とこの道は使わなくなっていく。
この道を毎日のように通っていたのは小学生の時だ。そもそものことをいうと、小学校があるのはこの道と反対側なのだが、学校の規定として決められた通学路以外を通ってはいけないという決まりがあったこともあって、毎日毎日、わざわざ遠回りしながら学校まで向かわなければならなかったのだ。
まったく不毛な話だとは思うけど、そんな今では疎遠になってしまった不便な道でも、いざ久しぶりに歩いてみると妙に感慨深かった。そして、その道もすぐにーー
気づけば自治会館の前へと来ていた。
目を見開いた。
【続く】
夕方五時、予定では祭りはとっくの昔に始まっているはずだった。だが、やはりそれらしき音は一切聴こえて来なかった。だが、取り敢えず行って見てみることにした。
地区の自治会館は実家から駅へと向かう道を三分ほど歩いたところにあった。駅へと向かう道といっても、駅までは歩いて三十分程度は掛かることもあって、距離的には駅までの十分の一程度でしかないのはいうまでもない。だからこそ、音が聴こえないのは可笑しいワケだ。
懐かしの道を歩き出した。普通に生活していても、まず通らない道だ。駅に向かう道とはいったが、駅への道のりは数パターンあり、この道を使うのは二番目に近い道といって良く、自然とこの道は使わなくなっていく。
この道を毎日のように通っていたのは小学生の時だ。そもそものことをいうと、小学校があるのはこの道と反対側なのだが、学校の規定として決められた通学路以外を通ってはいけないという決まりがあったこともあって、毎日毎日、わざわざ遠回りしながら学校まで向かわなければならなかったのだ。
まったく不毛な話だとは思うけど、そんな今では疎遠になってしまった不便な道でも、いざ久しぶりに歩いてみると妙に感慨深かった。そして、その道もすぐにーー
気づけば自治会館の前へと来ていた。
目を見開いた。
【続く】