【ゆうな!結婚してくれ!】

文字数 3,138文字

 気持ち悪いタイトルだな。

 自分で書いてて本当にそう思う。まぁ、これはおれがプロポーズで「結婚してくれ!」ということに気持ち悪いといっているワケではない。ただ、おれ自身が結婚というワードを出すこと事態が気持ち悪いというだけだ。

 それはさておき詐欺アカウントの話だ。簡単なあらすじーー「大学時代の五条氏は、某SNSにて『ゆうな』という詐欺アカウントに騙され、危うくヤバイことになりそうだったのだ」

 改めて考えると、マジでヤバイ話だよな。詐欺アカに自分のアドレスを教えるとかな。まぁ、相手も五〇のメールを送って、ひとりが数万払えばいいというような世界で仕事してるワケだから、ひとりの人間に執着してる暇なんてないんだけどな。

 ひとつ撤回。ヤツらがやっているのは「仕事」ではなくて「犯罪」だわな。よぉ、犯罪者。小市民を騙して稼いだ金で食うメシは美味いか?

 ま、ここでこの文章を読んでいる人には詐欺をするゴミなんかひとりもいないと思うんだけどな。疑ったようなこといって申し訳ないね。

 ちなみに『初舞台篇』は休みな。別に書いてもいいんだけど、昨日のラストが地味にへヴィになってしまったんでちょっとこっちでガス抜きするわ。付き合ってくれよなーーいや、そういう意味じゃねぇから。

 さて、ゆうなに騙され、社会の暗黒部の氷山の一角を見たような気分になった五条氏は、怒りにうち震えーー

 ているワケがないじゃないですか。

 きっと、あれはゆうなのジョークだったのだ。おれのことが好きで、からかいたかっただけなんだろうな。そう思って改めてゆうなのアカウントにアクセスしようと思ったらーー

 アカウントが消えてました。

「何でぇ? 滅茶苦茶好きやっちゅうねん!」と倖田來未ならいってそうだけど、おれは、きっとゆうなには事情があって、SNSを止めざるを得なかったのだと思ったのだ。

 しかし、おれは予め、ゆうなのフォロワーに足跡をいくつかつけていた。そこから遡ってゆうなの人脈を辿っていったのだ。しかしーー

 何と、ゆうなのアカウントを見つけてしまったのだ!

 何故ゆうなのアカウントだとわかったかって?ーーアカウントのトップ画像がゆうなの写真だったからだ。

 唐突なゆうなとの再会に五条氏も涙ちょちょぎれですよ。しかもーー

 ゆうなが三人もいたのだ。

 これには歓喜ですよ。何と、ゆうなが三人も!みな、同じトップ画像に、同じゆうなの笑顔。喜ばないワケがない。

 一瞬、三人のゆうなと四人でーーとか卑猥な想像もしたりはしたけど、そんなキモイ妄想はどうでもいい。おれはとりあえず、三人のゆうなにメッセージを送ることにした。

 まずはひとり目。仮にゆうなAとしよう。

「ゆうな! おれだ! 結婚してくれ!」

 もう一発で通報されても文句はいえないメッセージなのだけど、おれは本気だった。ゆうなはおれを試そうとしていたのだ。それもわからずにおれは。同級生にイジメられてゆうなは人とのコミュニケーションに鈍感になっているだけなのだ。おれはそんなことにも気づけない大バカ野郎だったのだ。

 とりあえず、ゆうなAにはメッセージを送ったので、次はゆうなBーー

「おう、コラァ! テメエ、詐欺師だろ? 人のこと騙して食うメシは美味いか!」

 いやぁ、流石に冗談もキツかったんで、ここは恋人として厳しくいわないとダメだよな。いくらイジメられてコミュニケーションに鈍感になっているとはいえ、ついていいウソと悪いウソがあるからな。

 最後。ゆうなCにメッセージを送るーー

「あれ? あなたと同じ人が他にふたりいるんだけど、どういうことですか? もしかして、詐欺アカウントですか? 違うなら同一人物のふたりを加えてホテルにいこうぜ、ゆうな」

 もう気持ち悪さの塊みたいなメッセージに読者も汚物パーティかと思うのだけど、ぼくは責任取りません。掃除はご自分でどうぞ。

 さて、そんな感じで返信を待っていたのですよ。で、一時間後、ゆうなAから連絡がーー

「え!? どちら様ですか?」

 絶望ーー絶望ですよ。

 何故ゆうなはおれを知らないとかいうのか。まだ、おれをからかい足りないのか。そうなのか、ゆうな。とまぁ、そんなこともあって、メッセージを返したワケです。

「何をいっているんだ、ゆうな。昨日、おれに学校でイジメられてて寂しかったけど、仲良くしてもらって嬉しいってメッセージくれたじゃん! あれはウソだったの……?」

 もう正直面倒くさくなってたんだけど、ここは辛抱。甲斐性のない男は嫌われるからね。

 が、ゆうなB、Cからは連絡はなく。仕方ないので追い打ちを掛けて見ることに。まずはBからーー

「おい。図星つかれたからシカトか? テメエみてえな犯罪者は家畜小屋で豚のクソでも食ってろ!  次シカトしたら通報するぞ」

 多分、ゆうなBはおれのことばに不貞腐れているのだろう。だから返信してこないのだろう。でも、悪いことは悪いのだ。Bにはちゃんと反省して貰わなければならない。

 さて、最後はCだーー

「もしかして、三人のゆうなの内、どのゆうなが好きなのかで拗ねてんの? ゆうなはゆうなじゃん。どのゆうなも好きだよ」

 もはや何をいっているのか自分でもわからないのだけど、どういうことですか?ーーわかる人、解読して。

 そんなことしてたら、Aから返信が来ました。

「ちょっとわからないなぁ……。話すならメールで直接やり取りしようよ」

 来た!

 そこにはゆうなのメールアドレスがちゃんと表記されているじゃないですか。なので、とあるツールを使ってーー

 プロトゆうなのメールアドレスからゆうなAのアドレスにメールを送っておきました。

 ちなみに内容は、「登録ありがとう! 次からはこのサイトからメールを送れるよ!」

 そのサイトは、おれが無料ホームページサービスを使って即興で作ったもので、トップページには黒い背景に大きな赤文字でひとことーー

「犯罪者乙、真面目に働け貧乏人」

 とだけ書いておきました。ちゃんと読んでくれたかなぁ。

 それと、このメールを送るのに使ったツールは現在は使用できなくなっているんで、悪用しようとしても無駄です。おれもそれ以外には使ってないし、昔の話でもう時効だから話すけどさ。何事も悪いことはしちゃダメよ。にしても、あんなツールがフリーで誰にでも使えたとか、狂った時代だったわ。

 で、次にゆうなBからメッセージがーー

「誰だよ、お前。特定して○すぞ」

 あまりに暴力的なものいいに、漏らしそうにはならなかったのだけど、これではいつまで経っても話は平行線だと思うんで、次のように返信しておきました。

「『詐欺師は夜な夜なひとりで慰める』に登録ありがとう! 利用規約はこちらのサイトで確認してね!」

 その末尾には、Aに送ったサイトと同じものを載せておきました。

 で、Cなんですが、やっぱり返信はなく、おれもいい加減飽きてきたんでーー

 三人まとめて通報しておきました。

 数時間後、三人のゆうなのアカウントは消えてました。おれは、ゆうなに失恋し、ひとり夜風に吹かれてストリートを歩くのだったーー

 とまぁ、こんな感じか。とりあえず、ゆうなとの話はこれで終わり。まだ他のアカウントとも色々あったんだけど、それはまた今度。

 次回は『初舞台篇』に戻りますわ。んじゃ、

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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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