【帝王霊~百参拾~】
文字数 553文字
空気が振動しているようだった。
まるで、その場の空気が急激な摩擦を起こして熱くなっていくような、そんな感じだった。祐太朗のこめかみに汗が垂れた。口許が震えていた。ハリがゆっくりと口を開いた。
「久しぶりだな、祐太朗」
祐太朗はハッとした。何かが可笑しいーーいや、何かではない。すべてが可笑しいのはいうまでもない。だが、その中でも特に可笑しなモノがある。それはーー
祐太朗は何事もなかったかのようにいった。
「そこで寝てるヤツの話はなしか」
そういって初めて、ハリはシャンティをゴミを見るような目で見下ろした。
「......死んでる」
「見りゃわかるだろ......」
そう返した祐太朗の声は殆ど消え入りそうになっていた。声の震えを隠す意味もあったかもしれないが、それ以上に感情が溢れ出しそうになっていたのだろう。
「そうだな」ハリは当たり前のことだとでもいうようにいった。「確かに死んでる」
「おれが訊いたのは理由、過程、原因、そこら辺の話だ。今そこにある現実だとか、事実の確認じゃねえよ、バカ頭」
祐太朗の挑発するような口振りも、ハリには通用しないようだった。顔つきは常に死んだようになっていた。祐太朗はそれを見て更なるイラ立ちを見せ、溜め息をついた。
「お前、誰だ?」
祐太朗は感情を圧し殺していった。
【続く】
まるで、その場の空気が急激な摩擦を起こして熱くなっていくような、そんな感じだった。祐太朗のこめかみに汗が垂れた。口許が震えていた。ハリがゆっくりと口を開いた。
「久しぶりだな、祐太朗」
祐太朗はハッとした。何かが可笑しいーーいや、何かではない。すべてが可笑しいのはいうまでもない。だが、その中でも特に可笑しなモノがある。それはーー
祐太朗は何事もなかったかのようにいった。
「そこで寝てるヤツの話はなしか」
そういって初めて、ハリはシャンティをゴミを見るような目で見下ろした。
「......死んでる」
「見りゃわかるだろ......」
そう返した祐太朗の声は殆ど消え入りそうになっていた。声の震えを隠す意味もあったかもしれないが、それ以上に感情が溢れ出しそうになっていたのだろう。
「そうだな」ハリは当たり前のことだとでもいうようにいった。「確かに死んでる」
「おれが訊いたのは理由、過程、原因、そこら辺の話だ。今そこにある現実だとか、事実の確認じゃねえよ、バカ頭」
祐太朗の挑発するような口振りも、ハリには通用しないようだった。顔つきは常に死んだようになっていた。祐太朗はそれを見て更なるイラ立ちを見せ、溜め息をついた。
「お前、誰だ?」
祐太朗は感情を圧し殺していった。
【続く】