【ボクサー・フランケン】
文字数 2,623文字
人を罵倒した経験はあるだろうか。
まぁ、これに関しては人間、生きていれば一度はあることだと思うのだ。
人の感情には限界がある。耐えよう、耐えようとし過ぎれば、精神を病んでどうにもいかなくなってしまう。
だからこそ、怒りや不満を溜めすぎるのはよくない。
とはいえ、それを解放しすぎるのもどうにもよろしくない。
そもそも、人は何かしらのコミュニティに属することで、自分の居場所を作り、生きている。だからこそ、他人との摩擦は可能な限り避けるべきなのだと思う。
とはいえ、やられっぱなしでは相手を付け上がらせるだけだ。そうなれば、自分の立場はどんどん悪くなり、自ら風下に立たざるを得なくなってしまう。そうなったら、何かと面倒だ。
まぁ、これにはあくまで、自分が最低限の能力を有しており、最低限のタスクをこなすことができるというエクスキューズが必要なんだけどな。もちろん、罵倒されるだけの理由を延々と作り続けてしまえば、逆ギレも悪になるのは仕方ないからな。
かくいうおれはというと、今となっては人を罵倒することも殆どなくなった。やはり、生きていく上で人間関係に波風を立てていくのはクレバーな生き方とはいえないし、おれ自身あまり人を罵倒して生きたくないというのもある。
とはいえ状況が状況で、あくまで自分に非が殆ど感じられず、相手の行動によって実害を被るのなら話は別だ。そういう時は、何かしらの対処を取るようにおれは心掛けている。
まぁ、今いったような話はどちらかといえば大人の対応に近いものがあるというのだけど、やはり、おれにもガキの時分はあったもので。人を罵倒してしまった過去もあるワケだ。
子供は残酷だ。ことに中学生くらいとなるとみんなマインド内ではイケイケで、怖いモノなどないといったような状態にある。
だからこそ、子供の時分は、人を罵倒することも多くなってしまうのではないかと思う。
逆にいってしまえば、いい年して人を罵倒してばかりいるヤツは、見た目は大人でも、マインド的にはガキでしかないということだ。
さて、今日はそんな罵倒に関する話。あまりいい話ではないかもしれないんで、イヤならブラウザバックをよろしく。じゃ、やってくーー
あれは中学二年の時のことだった。
シーズン的には秋頃だったと思う。その日は中学卓球部の地区大会だったワケだ。会場は市内の中学校で、朝早くから会場へ着き、ひたすらオレンジや白のピンポン玉の行方を見守っていた。
さて、そんな五条氏、個人戦にて出場はしていたのだけど、あまりの弱さに一回戦落ちを避けられなかったよな。まったく、何でこんなにも球技が下手なのか自分でも驚きだ。勝てる要素なんか、全然なかったよな。
そんな中、敗者は次の試合の審判をやらなければならない決まりになっていたワケだ。
そんな感じで敗北者、五条氏もボンヤリと審判をやったのだ。まぁ、審判っていっても得点をひっくり返して、不正がないか見るだけだから、大したことはやらないんだけどな。
それから無難に審判を終えた五条氏は、自分の学校の持ち場に帰ったのだ。顧問の座藤先生は非常に苦い顔をしていた。まぁ、負けたからな。それから特に何もいわれることなく、その場を立ち去られ、おれも仲間の試合の応援に回ることにしたのだ。
そんな中である。職場体験で一緒だったイケメンの佐藤がこんなことをいい出したのだーー
「アイツのズボン、ボクサーパンツみたいじゃね?」
そういって佐藤が指差したのは、他の中学の生徒なのだけど、
全然、ボクサーパンツじゃなかった。
てか、普通のハーフパンツだった。
普通、ボクサーパンツっていったら、男性用のピッチリした下着のことをいうのだけど、多分、佐藤はボクサーが試合で穿くようなパンツのことをいっていたのだろう。うん、
それはボクサーパンツとはいわない。
まぁ、それはさておき、である。佐藤をはじめ、他の連中、そしておれも「ボクサーパンツ」という響きの面白さにやられてしまい、それから、その他中の生徒のことを裏で「ボクサーパンツ」とか呼んで笑っていたのだけど、そんなことをいっていたらーー
ボクサーパンツが敗退してしまったのだ。
まぁ、同じ中学のヤツじゃないから別に落胆もしなかったんだけど、そんな中、佐藤はーー
「何だよ、あのボクサーパンツ。『デビル・フランケン』に格下げだな」
ワケがわからない。
そもそも、何食って育ったら、『ボクサーパンツ』だとか『デビル・フランケン』とかいう単語が出てくるのか不思議でならなかった。ちなみに、佐藤曰く、デビル・フランケンの理由はーー
「見た目がそんな感じだから」
だそう。シンプルに悪口じゃねぇか。まぁ、それはそれでいいんだけど、問題はこの後だった。というのもーー
デビル・フランケンが審判を務める台にて、五村西中の生徒が試合をすることとなったのだ。
その生徒がしかもキャナだったのだ。
となると、必然的にボクサーパンツ改めデビル・フランケンを見ることとなるワケだ。まぁ、見るだけなら何の問題もないのだけど、トラブルは起きてしまった。というのもーー
デビル・フランケンが審判ミスをしまくったのだ。
まぁ、これが一、二回程度ならまだしも、普通に五回以上のミスがあり、その度に佐藤は、
「おい、ボクサーパンツふざけんなよ!」
「デビル・フランケン、逆なんだよ!」
「ミスすんなよ、デビフラ!」
「ボクサーパンツなんだかデビル・フランケンなんだか、ハッキリしろよ!」
とデビル・フランケンを罵倒しまくったのだ。最後のはボクサー・フランケンに何の責任もないだろうに。
そんな感じで、色んな意味でキャナもやりづらかったとは思うのだけど、何とか勝ち進み、ことなきを得たのでした。
が、デビル・フランケンは試合後、泣きそうになっていました。そりゃ、アレだけ罵倒されればなぁ……。
人を罵倒することだって、時にはあるだろう。でも、やるならやるで覚悟は持たなければならないと思う。
声を荒げるということは、他人との関係に傷を残しかねないし、そうなっても構わないと考えてやらなければならない。
罵倒しなければ人にモノを伝えられないヤツってのも、この世の中には一定数いる。
だが、そんなことばのジャックナイフを突き付けたところで、人の気持ちを逆撫でするだけで、信頼など得られないのだ。
おれがいえたことじゃないか。
アスタラビスタ。
まぁ、これに関しては人間、生きていれば一度はあることだと思うのだ。
人の感情には限界がある。耐えよう、耐えようとし過ぎれば、精神を病んでどうにもいかなくなってしまう。
だからこそ、怒りや不満を溜めすぎるのはよくない。
とはいえ、それを解放しすぎるのもどうにもよろしくない。
そもそも、人は何かしらのコミュニティに属することで、自分の居場所を作り、生きている。だからこそ、他人との摩擦は可能な限り避けるべきなのだと思う。
とはいえ、やられっぱなしでは相手を付け上がらせるだけだ。そうなれば、自分の立場はどんどん悪くなり、自ら風下に立たざるを得なくなってしまう。そうなったら、何かと面倒だ。
まぁ、これにはあくまで、自分が最低限の能力を有しており、最低限のタスクをこなすことができるというエクスキューズが必要なんだけどな。もちろん、罵倒されるだけの理由を延々と作り続けてしまえば、逆ギレも悪になるのは仕方ないからな。
かくいうおれはというと、今となっては人を罵倒することも殆どなくなった。やはり、生きていく上で人間関係に波風を立てていくのはクレバーな生き方とはいえないし、おれ自身あまり人を罵倒して生きたくないというのもある。
とはいえ状況が状況で、あくまで自分に非が殆ど感じられず、相手の行動によって実害を被るのなら話は別だ。そういう時は、何かしらの対処を取るようにおれは心掛けている。
まぁ、今いったような話はどちらかといえば大人の対応に近いものがあるというのだけど、やはり、おれにもガキの時分はあったもので。人を罵倒してしまった過去もあるワケだ。
子供は残酷だ。ことに中学生くらいとなるとみんなマインド内ではイケイケで、怖いモノなどないといったような状態にある。
だからこそ、子供の時分は、人を罵倒することも多くなってしまうのではないかと思う。
逆にいってしまえば、いい年して人を罵倒してばかりいるヤツは、見た目は大人でも、マインド的にはガキでしかないということだ。
さて、今日はそんな罵倒に関する話。あまりいい話ではないかもしれないんで、イヤならブラウザバックをよろしく。じゃ、やってくーー
あれは中学二年の時のことだった。
シーズン的には秋頃だったと思う。その日は中学卓球部の地区大会だったワケだ。会場は市内の中学校で、朝早くから会場へ着き、ひたすらオレンジや白のピンポン玉の行方を見守っていた。
さて、そんな五条氏、個人戦にて出場はしていたのだけど、あまりの弱さに一回戦落ちを避けられなかったよな。まったく、何でこんなにも球技が下手なのか自分でも驚きだ。勝てる要素なんか、全然なかったよな。
そんな中、敗者は次の試合の審判をやらなければならない決まりになっていたワケだ。
そんな感じで敗北者、五条氏もボンヤリと審判をやったのだ。まぁ、審判っていっても得点をひっくり返して、不正がないか見るだけだから、大したことはやらないんだけどな。
それから無難に審判を終えた五条氏は、自分の学校の持ち場に帰ったのだ。顧問の座藤先生は非常に苦い顔をしていた。まぁ、負けたからな。それから特に何もいわれることなく、その場を立ち去られ、おれも仲間の試合の応援に回ることにしたのだ。
そんな中である。職場体験で一緒だったイケメンの佐藤がこんなことをいい出したのだーー
「アイツのズボン、ボクサーパンツみたいじゃね?」
そういって佐藤が指差したのは、他の中学の生徒なのだけど、
全然、ボクサーパンツじゃなかった。
てか、普通のハーフパンツだった。
普通、ボクサーパンツっていったら、男性用のピッチリした下着のことをいうのだけど、多分、佐藤はボクサーが試合で穿くようなパンツのことをいっていたのだろう。うん、
それはボクサーパンツとはいわない。
まぁ、それはさておき、である。佐藤をはじめ、他の連中、そしておれも「ボクサーパンツ」という響きの面白さにやられてしまい、それから、その他中の生徒のことを裏で「ボクサーパンツ」とか呼んで笑っていたのだけど、そんなことをいっていたらーー
ボクサーパンツが敗退してしまったのだ。
まぁ、同じ中学のヤツじゃないから別に落胆もしなかったんだけど、そんな中、佐藤はーー
「何だよ、あのボクサーパンツ。『デビル・フランケン』に格下げだな」
ワケがわからない。
そもそも、何食って育ったら、『ボクサーパンツ』だとか『デビル・フランケン』とかいう単語が出てくるのか不思議でならなかった。ちなみに、佐藤曰く、デビル・フランケンの理由はーー
「見た目がそんな感じだから」
だそう。シンプルに悪口じゃねぇか。まぁ、それはそれでいいんだけど、問題はこの後だった。というのもーー
デビル・フランケンが審判を務める台にて、五村西中の生徒が試合をすることとなったのだ。
その生徒がしかもキャナだったのだ。
となると、必然的にボクサーパンツ改めデビル・フランケンを見ることとなるワケだ。まぁ、見るだけなら何の問題もないのだけど、トラブルは起きてしまった。というのもーー
デビル・フランケンが審判ミスをしまくったのだ。
まぁ、これが一、二回程度ならまだしも、普通に五回以上のミスがあり、その度に佐藤は、
「おい、ボクサーパンツふざけんなよ!」
「デビル・フランケン、逆なんだよ!」
「ミスすんなよ、デビフラ!」
「ボクサーパンツなんだかデビル・フランケンなんだか、ハッキリしろよ!」
とデビル・フランケンを罵倒しまくったのだ。最後のはボクサー・フランケンに何の責任もないだろうに。
そんな感じで、色んな意味でキャナもやりづらかったとは思うのだけど、何とか勝ち進み、ことなきを得たのでした。
が、デビル・フランケンは試合後、泣きそうになっていました。そりゃ、アレだけ罵倒されればなぁ……。
人を罵倒することだって、時にはあるだろう。でも、やるならやるで覚悟は持たなければならないと思う。
声を荒げるということは、他人との関係に傷を残しかねないし、そうなっても構わないと考えてやらなければならない。
罵倒しなければ人にモノを伝えられないヤツってのも、この世の中には一定数いる。
だが、そんなことばのジャックナイフを突き付けたところで、人の気持ちを逆撫でするだけで、信頼など得られないのだ。
おれがいえたことじゃないか。
アスタラビスタ。