【お喋りはお止め下さい】

文字数 2,525文字

 映画ばかり観ている。

 ここ最近、トレンドのように思えるほど映画の話ばかりしているのだけど、元はといえば、おれは映画が好きだったりする。

 まぁ、昨年は初の緊急事態宣言で映画のほうにまで気が回らなかったというのがあったんだけど、今度は逆に昨年映画を観なさ過ぎた反動で滅茶苦茶に映画を観ている。

 今のところ昔から好きな映画しか観ていないのだけど、そんな好きな映画を見返すといっただけでも、かつ年齢を経るだけでもその映画に対する印象や考え方が大きく変わってくることもあって、大きな収穫になりうるワケだ。

 とはいえ、映画を観るのが好きといっても大きく派閥が分かれることもあるので、そこは注意が必要だ。例を挙げるなら、

 ・劇場派 or ホームシアター派
 ・字幕派 or 吹替派
 ・新作派 or 旧作派
 ・邦画派 or 洋画派

 とこんな感じだろう。

 かくいうおれはここら辺の拘りは全然なかったりする。映画館で観るのも好きだし、家でゆっくりと観るのも好きだ。

 字幕も吹替もどちらも好きだし、旧作だろうが新作だろうが特に拘りもない。

 ちょっとセンシティブなことをいうなら、邦画と洋画を分けることに関してはちょっと理解が出来ないといった感じではある。

 というのも最近だと日本製か海外製かの違いといっただけでしかないのに、それだけでネガティブな感情が働きがちだからだ。

 面倒だから例は挙げないけど、結局のところは面白いかつまらないかでしかない。だから、

「邦画だからつまらない、洋画だから面白い」

 とか

「知ってる日本人が出てるから観る、知らない外国人しか出てないから観ない」

 みたいな考え方は個人的には嫌いなんよな。それでたまに映画好きを自称する人がいるんだけど、それは映画好きというよりはそのジャンルやカテゴリーが好きな人って気がする。

 まぁ、広義でいえば「映画好き」にも分類されるし間違いではないから、おれのいっていることも矛盾するんだけどな。

 ただ、そういった個人的な事情は別にしても、今のご時世では映画館も特に封鎖されていないとはいえ、緊急事態宣言下ということもあってどこか足が遠退くというのもあると思う。

 そんなの気にせずに観に行くという人もいるとは思うけど、やはりウイルスがどうというのを気にする人もいるーーちなみにおれは後者。

 けど、やはり映画館で観る映画というのはいいモノだ。とはいえ、たまにろくでもない客がいるのも事実で、そのせいでイヤな思いをするのもあるけどな。

 というワケで、今日はそんな話をしていこうかと思う。ここ十何年かだろうか、映画館でも上映前に観賞中のマナーがいわれるようになってきたけど、映画館で観る映画というのは共有物であって私物ではないからな。

 私物にしたいなら、ソフトを買って家で観るか、映画の版権そのモノを買えばいいと思う。キツイことをいうけど、初見の映画を劇場で観る経験というのは一度しか来ないんよ。

 まぁ、何度か観た映画でもその時その劇場で観るというだけでも一期一会の経験ではあるから、大事にすべきなんだけどな。

 このままウダウダいっていても長くなりそうなんで、さっさと書いてくわーー

 あれは大学三年のことだった。前々回に映画の帰りにイカれた三人組と遭遇したという話をしたけれど、それとちょうど同じ時期の話だ。

 おれはその日、大学の講義をすべて終え、県庁所在地の駅まで来ていた。

 理由は単純に「映画を観に行くため」だ。

 その映画館は場所も駅を出てすぐ目の前ということもあって立地は最高なのだが、如何せん、ラインナップが微妙という、ちょっと首を傾げたくなるような劇場だったワケだ。

 とはいえ、映画を観れるだけでもその時は充分だった。むしろ、何でもいいから劇場で映画を観たいという欲に駆られていたこともあって、ラインナップがしょぼくても大して気にはならなかったのだ。

 その日観ることにした映画は、とあるシリーズモノの新作で、個人的には原作は好きだが映画はちょっととは思っていたが、この時は、ちょっとでも気になったら観てみようの精神があったので、期待値は低かったが取り敢えず観てみることにしたのだ。

 チケットを買い劇場内に入ると、そこにいたのは高校生の五人組だけだった。

 おれは指定されたシートに座り、映画が始まるのを静かに待っていた。そんな中、高校生たちは楽しそうに学校生活の話をしていた。

 それに関しては別に気にもならず、映画が始まったら静かにしてもらえればいいやくらいにしか思っていなかった。そんな中、高校生のひとりがこんなことをいい出したのだーー

「おれ、この映画、もう五回も観てるんだぜ」

 なるほど、このシリーズが好きなんだな。オマケに同じ映画を映画館に来てまで五回も観るなんて、稀有な存在だなと感心してしまったのだ。が、ソイツが次にいったのはーー

 映画のネタバレだった。

 それも詳細に最初から最後まで。

 高校生たちは笑いながら、おい、いうなよとはしゃいでいたのだけど、おれは思わず、

「あ?」

 と声を上げてしまったよな。まぁ、おれの存在に気づかなかったんだろうとも思われるかもだけど、おれと高校生の間は、

 たった数席しか空いてなかった。

 しかも同列でな。

 これには当時、自称映画ガチ勢の痛い大学生だった五条氏も怒り心頭だったワケで。気づいたら高校生に睨みを利かせてしまったんだけど、向こうもマズイと思ったらしく、流石に静かになってました。

 結果、映画が始まっても集中できないし、寝不足が祟ったこともあって途中で寝てしまいました。途中起きたとはいえ、結局、衝撃のラストもネタバレを食らってしまったせいで何の驚きもなく、一体自分は何をしているのだろうと自問するしかなかったよな。

 明るくなった劇場に残ったのは、いいようのない虚しさだけ。終わって席を立つと、おれは高校生の足を蹴りながら劇場を後にしたのでした。ネタバレはよくない。

 おれが足を蹴った高校生も今では社会人になっていると思う。彼らは元気にやっているのだろうか。ネタバレのない人生の波に揉まれていたとしても、上手くやれてればいいけど。

 どうでもいいわな。

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登場人物紹介

どうも!    五条です!


といっても、作中の登場人物とかではなくて、作者なんですが。


ここでは適当に思ったことや経験したことをダラダラと書いていこうかな、と。


ま、そんな感じですわ。

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