【災厄の黄色い旗】
文字数 2,335文字
空を見てみろよ、稲光がすげえぜ。
ここ最近、天候がバグっている。マジで地球が終わるんじゃねえかと思わせるような気候には、流石に恐怖をーー感じてはおらず、むしろウンザリするばかりで。いつからこんなことになったのかね、と太陽と雨雲を軟禁して一五時間くらい問い詰めたい気分である。
どうでもいいね。
さて、長くなってきた体育祭篇ではありますが、とうとう団長として最初の団練習を迎えることとなったわけだ。一応、あらすじーー
「団会議に出た五条氏、マジで役に立たない。二年生の応援団員と合流するも困惑させる」
もう、ほんとやめろよって感じなんだけど、やらざるを得ないものはやらなきゃならない。本当に無理だったら辞めてもいいんだけど、この当時のおれは比較的元気で、やることになってしまった以上、どんな形でもいいからとりあえずやりきらねばという気持ちで、適当ながらも続けていたのよね。
さて、そんな中、日々の生活の中で応援団会議をするのが当たり前になってまして、初の団練習を控えた前日、会議にて団のキャッチフレーズを決めることになったのだけど、黄色を象徴するものって何よって感じで、それはそれはみんな頭を悩ませまして。
黄色ーーレモン、信号、光……
まぁ、それなりにイメージはあるけど、これといった標語が出てこない。レモンって何だよ、テレビジョンか。黄色信号、無理せずいくのはやめましょうーー停滞しとるわな。
そんな中、TKがいったんですな。
「雷、とかどう?」
これには、素晴らしいアイディアだとみんなも納得し、五条氏も手を叩いたのだとかーーお前、何もしてねぇな。よし、じゃあ雷でいこう!ってことになったのだけど、
肝心のキャッチフレーズにできそうなワードがない。
あるにはあったのだけど、それも「付和雷同」という普通にマイナスな印象を与える四字熟語しかなく、困ったものだった。「むやみに人に同調するっていうのを、団結と捉えられないかな」というかなり難しいこじつけをしようかとも考えたのだけど、やはりそれも微妙。
が、それから、十数分ほど考えて、漸く付和雷同に代わるアイディアが出たのだ。それはーー
「疾風迅雷」
風の如く素早く、雷の如く激烈に。もうね、中学生で黄色の団体といったらパーフェクトな標語だったと思う。これには満場一致でオッケーが出、みんな標語が決まって漸く安心し、翌日の団練習を迎えられる状態となったのだ。
翌日の放課後、初の団練習があったのだ。とはいえ、最初の練習なんてのは、所詮はおれやシーサー、芹沢くん、小田さんの自己紹介くらいで、あとは団のキャッチフレーズの発表等、顔合わせ的なことしかしなかったのだけど。
とはいえ、自分の目の前に白けた顔をした男に女、男、男、女、男……とそんな光景を見ていると流石に眩暈がしそうだった。そうーー
五条氏は極度のアガリ症だったのだ。
今でこそ、人前に出るのもそこまで苦ではないのだけど、もうね、この時は人前に立った経験なんかほぼないですから、まぁ、アガっちゃいまして……。何とか喋ろうとするのだけど、どうも舌が絡まるというか、思考が絡まった糸のようにこんがらがるというか。
とまぁ、そんな感じで最初の団練習は終わったのだけど、いやぁ、みんな、白けた顔をしてましたなぁ。そりゃそうですわ。おれみたいなどこの馬の骨かもわからないヤツが突然「団長でーす」とか出てきても、ワケわからんよな。
まぁ、それからも団会議や団練習が定期的にあり、応援歌に応援のフレーズ等が決まり、おれも少しずつではあるけど、人前での立ち振舞いに慣れ始めていた。お、これはいけるかな。そう思い始めたくらいの時だったーー
体育祭まであと二週といった頃だったろうか、全体の合同練習があったのだ。とはいえわ初の全体練習でやることといったら、全体の流れをさらいつつ、体育祭の軽いデモンストレーションをするという感じで。
前々から思ってたんだけど、この手の全体練習って流れをさらうくらいなら意味あるけど、それ以上のことってやる意味ないよな。どうでもいいけど。
まぁ、ただ流れをさらうだけ、とはいいつつ、団をまとめたり、団の生徒たちを指導したりしていくのはおれなのはいうまでもなく。確かに団練習ではそれなりに立ち回りを覚えたつもりだったんだけどーー
おれはアドリブが利かない人間だったのだ。
つまり、メンバーを導くどころか逆に導かれるような感じになってしまい、オマケに、おれは右往左往するばかりで、終始ろくな指導ができないような体たらくだったのだ。うん、もう、色んな意味で終わってた。
正直、適当に団長をやっていたおれも自分のゴミさ加減に落胆してしまい、肩を落としてトボトボと校舎に帰ろうとしてたんですわ。そしたら、応援団員の金田にーー
「お前なんか団長じゃねえよ!」
いわれてしまいましたわ。今だったら、「金田、オメエが目障りだったんだよぉ。どこにでも出てきてボス面しやがるぅ!」とかいって済ませられたんでしょうが、この当時のナイーブな文化系男子のおれにはそれも無理な話で。マジで凹んだわ。凹み修理はお近くの自動車整備工場へーーこんな冗談もいえなかったからな。
もう辞めるーーそして、おれは決意したんだわ。
さて、今日はここまで。次は団練習の二回目か。今週中には終わるだろうかね。ま、気楽にいきましょうや。
【追伸】
明日から公開時間を一時間遅くして、朝の八時からにします。もしかしたら、すぐに戻すかも。理由?ーー何となく。
じゃーな。
ここ最近、天候がバグっている。マジで地球が終わるんじゃねえかと思わせるような気候には、流石に恐怖をーー感じてはおらず、むしろウンザリするばかりで。いつからこんなことになったのかね、と太陽と雨雲を軟禁して一五時間くらい問い詰めたい気分である。
どうでもいいね。
さて、長くなってきた体育祭篇ではありますが、とうとう団長として最初の団練習を迎えることとなったわけだ。一応、あらすじーー
「団会議に出た五条氏、マジで役に立たない。二年生の応援団員と合流するも困惑させる」
もう、ほんとやめろよって感じなんだけど、やらざるを得ないものはやらなきゃならない。本当に無理だったら辞めてもいいんだけど、この当時のおれは比較的元気で、やることになってしまった以上、どんな形でもいいからとりあえずやりきらねばという気持ちで、適当ながらも続けていたのよね。
さて、そんな中、日々の生活の中で応援団会議をするのが当たり前になってまして、初の団練習を控えた前日、会議にて団のキャッチフレーズを決めることになったのだけど、黄色を象徴するものって何よって感じで、それはそれはみんな頭を悩ませまして。
黄色ーーレモン、信号、光……
まぁ、それなりにイメージはあるけど、これといった標語が出てこない。レモンって何だよ、テレビジョンか。黄色信号、無理せずいくのはやめましょうーー停滞しとるわな。
そんな中、TKがいったんですな。
「雷、とかどう?」
これには、素晴らしいアイディアだとみんなも納得し、五条氏も手を叩いたのだとかーーお前、何もしてねぇな。よし、じゃあ雷でいこう!ってことになったのだけど、
肝心のキャッチフレーズにできそうなワードがない。
あるにはあったのだけど、それも「付和雷同」という普通にマイナスな印象を与える四字熟語しかなく、困ったものだった。「むやみに人に同調するっていうのを、団結と捉えられないかな」というかなり難しいこじつけをしようかとも考えたのだけど、やはりそれも微妙。
が、それから、十数分ほど考えて、漸く付和雷同に代わるアイディアが出たのだ。それはーー
「疾風迅雷」
風の如く素早く、雷の如く激烈に。もうね、中学生で黄色の団体といったらパーフェクトな標語だったと思う。これには満場一致でオッケーが出、みんな標語が決まって漸く安心し、翌日の団練習を迎えられる状態となったのだ。
翌日の放課後、初の団練習があったのだ。とはいえ、最初の練習なんてのは、所詮はおれやシーサー、芹沢くん、小田さんの自己紹介くらいで、あとは団のキャッチフレーズの発表等、顔合わせ的なことしかしなかったのだけど。
とはいえ、自分の目の前に白けた顔をした男に女、男、男、女、男……とそんな光景を見ていると流石に眩暈がしそうだった。そうーー
五条氏は極度のアガリ症だったのだ。
今でこそ、人前に出るのもそこまで苦ではないのだけど、もうね、この時は人前に立った経験なんかほぼないですから、まぁ、アガっちゃいまして……。何とか喋ろうとするのだけど、どうも舌が絡まるというか、思考が絡まった糸のようにこんがらがるというか。
とまぁ、そんな感じで最初の団練習は終わったのだけど、いやぁ、みんな、白けた顔をしてましたなぁ。そりゃそうですわ。おれみたいなどこの馬の骨かもわからないヤツが突然「団長でーす」とか出てきても、ワケわからんよな。
まぁ、それからも団会議や団練習が定期的にあり、応援歌に応援のフレーズ等が決まり、おれも少しずつではあるけど、人前での立ち振舞いに慣れ始めていた。お、これはいけるかな。そう思い始めたくらいの時だったーー
体育祭まであと二週といった頃だったろうか、全体の合同練習があったのだ。とはいえわ初の全体練習でやることといったら、全体の流れをさらいつつ、体育祭の軽いデモンストレーションをするという感じで。
前々から思ってたんだけど、この手の全体練習って流れをさらうくらいなら意味あるけど、それ以上のことってやる意味ないよな。どうでもいいけど。
まぁ、ただ流れをさらうだけ、とはいいつつ、団をまとめたり、団の生徒たちを指導したりしていくのはおれなのはいうまでもなく。確かに団練習ではそれなりに立ち回りを覚えたつもりだったんだけどーー
おれはアドリブが利かない人間だったのだ。
つまり、メンバーを導くどころか逆に導かれるような感じになってしまい、オマケに、おれは右往左往するばかりで、終始ろくな指導ができないような体たらくだったのだ。うん、もう、色んな意味で終わってた。
正直、適当に団長をやっていたおれも自分のゴミさ加減に落胆してしまい、肩を落としてトボトボと校舎に帰ろうとしてたんですわ。そしたら、応援団員の金田にーー
「お前なんか団長じゃねえよ!」
いわれてしまいましたわ。今だったら、「金田、オメエが目障りだったんだよぉ。どこにでも出てきてボス面しやがるぅ!」とかいって済ませられたんでしょうが、この当時のナイーブな文化系男子のおれにはそれも無理な話で。マジで凹んだわ。凹み修理はお近くの自動車整備工場へーーこんな冗談もいえなかったからな。
もう辞めるーーそして、おれは決意したんだわ。
さて、今日はここまで。次は団練習の二回目か。今週中には終わるだろうかね。ま、気楽にいきましょうや。
【追伸】
明日から公開時間を一時間遅くして、朝の八時からにします。もしかしたら、すぐに戻すかも。理由?ーー何となく。
じゃーな。