【コヨーテは水の上を歩けるか?】
文字数 2,335文字
損な役回りになりがちな人がいる。
これはどこのグループ、組織にも大体ひとりはいる。それは当たり前の話、この世界には様々な異なる性格を持った人がいるからだ。
優しい人もいれば、意地悪な人もいるし、厳しい人もいれば、腑抜けもいる。強かなヤツもいれば気弱なヤツもいる。性格面だけでなく知能面においても、バカもいれば、インテリもいる。階級も下流がいれば、上流もいる。
人は大抵ある一部にフォーカスすると、種類が二分される。中でも、気弱、優しい、腑抜け、バカ、下流となると、どうしても人になめられがちになり、タスクも余剰になりがちだ。
まぁ、いってしまえば、おれもそのひとりなのだけど、おれの場合は、気弱なクセに性格が羊のゲロレベルで悪く、頭もガン細胞レベルで悪くて本当にダメ要素のグランドスラムみたいな感じなので、たちが悪い。
やはり、人間、いつかは損な役回りを脱却しなければならない。それは自分の領分以上のことに身を割いていては、精神的にもよろしくないし、余裕もなくなって頭も働かなくなって、視野も狭くなるからだ。
あれよあれよと仕事を押し付けられ、気づけば自分のキャパシティをはるかに超える程のタスクを背負わされ、重圧に負けて朽ち果てていく。そうならないためにも、損な役回りになりがちな人は、もう少しワガママになってもいいのかもしれない。
たまには他人に責任転嫁してもいいーーというより、役職持ちでもない限り他人のミスをワザワザ自分が被る必要もないし、周りに嫌われるのを恐れて自分を殺す必要もないのだ。
じゃないと、受難は終わらない。結局、最後は自分がどう立ち回るか、なのだ。
というワケで、今日はとある受難に関する話。一応、昨日の話の続きです。
簡単なあらすじーー
「中学一年、五条氏は五村の地区公民館に職場体験へといったのだが、メンバーにハメられ、おじいさんのズボンのチャックが開いていることを指摘する破目になってしまったのだ」
酷いあらすじだな。さて、やってくーー
職場体験プログラムから数週間後のことだった。おれは人非人どもの集まりの中で、ひとり、吐き気と対決していた。
体育館のフロアにはバカみたいに人がいた。いや、学年単位なので、いるとしても精々140人程度だろう。だが、この時のおれには140の観客の前に立つことすら、苦痛だった。
この日は、職場体験プログラムのグループ発表の本選の日だった。
本選てどういうこと?って感じもするだろうけど、職場体験プログラム後、各々のグループが四つのクラスに分けられて、そこで体験した内容について発表し、優秀と認められたグループが上位四組として同学年全員の前で発表することになるということだ。つまりーー
うちのグループは、ひとクラスで優秀賞を取ってしまったというワケだ。
本来なら喜ばしいことなんだろうけど、正直全然嬉しくなかった。むしろ迷惑もいいところ。辞退が可能なら秒速で辞退してた。
クソ、クソーークソッ!
おれはまだ寒さの残る体育館でひとり、マインドの中で悪態をつきながら震えていた。寒かったから?ーーそれもあるし、シンプルに人前に出たくなかったのだ。
オマケにおれらの出番はトリ前だった。トリじゃなくて本当によかったとは思うけど、とはいえ他のグループが画用紙にポスターカラーを多用してカラフルに仕上げたポスターで発表を行っていたり、紙芝居風に上手くまとめていたりしているのを見ると、何でおれはここにいるのかという気持ちにならざるを得なかった。
そして、ふた組目の出番が終わったーー終わってしまった。
そして、おれらの出番となった。他の四人が堂々とオーディエンスの前に立つ中、おれひとりだけが出るのを渋ったーー渋りまくった。
「五条くんッ! 始めるよッ!」
シーサーがいった。始めるよじゃねぇよ。そもそも今回の発表内容を考案したのも、おれをメインに据えたのもこのシーサーだった。魔除けどころか邪気ばかり呼び込みやがって。
とまぁ、それでおれも仕方なしに人前へ出たんよ、仕方なしに。そしたらーー
爆笑が起こったんだわ。
予想はしていたけど、案の定そうなると何かイヤだったよな。まだ本番が始まってもないのに爆笑が起きるなんてって感じだけど、それもそのはず。というのもーー
おれのズボンのチャックが全開だったのだ。
もはやここまで来たらもうお分かりだよな。そう、おれらのグループの発表内容とはーー
美原さんのズボンのチャックが全開だった話を劇にしたモノだったのだ。
いうまでもなく、美原さん役はおれ。この役を振ったのもいうまでもなくシーサーでした。もはや、ここまでくると怨恨○人も許されそうだよな。そんなことしないけど。
ちなみに、脚本執筆はおれ。何で自分が恥じ掻く芝居の本を自分で書かなきゃならんのよ。
まぁ、そんな感じで本番が始まってからも場の笑いは収まることなく、というか、チャックのネタが伏線回収されると、
「あぁ、演劇のためにチャック全開だったんだぁー!」
みたいな声が聞こえてきたり。逆にチャックが開いてることに気づかない状態で芝居してたらかなりの天然ーーごめん、おれ、天然だったわ。
まぁ、かなりのウケ具合ではあったんですが、残念なことに学年優秀賞は取れませんでした。むしろ、こんな下品な出し物、弾かれて当たり前だろ。こんなんで優秀賞取っちゃったら、学校の品格が問われるよな。
とはいえ、評判は良く、それから数日は男女問わず、チャックのネタを振られることとなったとさ。ほんと、この学校、品がないよな。やっぱ本当に上品で上流なのは五条氏しかーーえ、当事者のお前が一番品がない?
ほんとだよな。
アスタラビスタ。
これはどこのグループ、組織にも大体ひとりはいる。それは当たり前の話、この世界には様々な異なる性格を持った人がいるからだ。
優しい人もいれば、意地悪な人もいるし、厳しい人もいれば、腑抜けもいる。強かなヤツもいれば気弱なヤツもいる。性格面だけでなく知能面においても、バカもいれば、インテリもいる。階級も下流がいれば、上流もいる。
人は大抵ある一部にフォーカスすると、種類が二分される。中でも、気弱、優しい、腑抜け、バカ、下流となると、どうしても人になめられがちになり、タスクも余剰になりがちだ。
まぁ、いってしまえば、おれもそのひとりなのだけど、おれの場合は、気弱なクセに性格が羊のゲロレベルで悪く、頭もガン細胞レベルで悪くて本当にダメ要素のグランドスラムみたいな感じなので、たちが悪い。
やはり、人間、いつかは損な役回りを脱却しなければならない。それは自分の領分以上のことに身を割いていては、精神的にもよろしくないし、余裕もなくなって頭も働かなくなって、視野も狭くなるからだ。
あれよあれよと仕事を押し付けられ、気づけば自分のキャパシティをはるかに超える程のタスクを背負わされ、重圧に負けて朽ち果てていく。そうならないためにも、損な役回りになりがちな人は、もう少しワガママになってもいいのかもしれない。
たまには他人に責任転嫁してもいいーーというより、役職持ちでもない限り他人のミスをワザワザ自分が被る必要もないし、周りに嫌われるのを恐れて自分を殺す必要もないのだ。
じゃないと、受難は終わらない。結局、最後は自分がどう立ち回るか、なのだ。
というワケで、今日はとある受難に関する話。一応、昨日の話の続きです。
簡単なあらすじーー
「中学一年、五条氏は五村の地区公民館に職場体験へといったのだが、メンバーにハメられ、おじいさんのズボンのチャックが開いていることを指摘する破目になってしまったのだ」
酷いあらすじだな。さて、やってくーー
職場体験プログラムから数週間後のことだった。おれは人非人どもの集まりの中で、ひとり、吐き気と対決していた。
体育館のフロアにはバカみたいに人がいた。いや、学年単位なので、いるとしても精々140人程度だろう。だが、この時のおれには140の観客の前に立つことすら、苦痛だった。
この日は、職場体験プログラムのグループ発表の本選の日だった。
本選てどういうこと?って感じもするだろうけど、職場体験プログラム後、各々のグループが四つのクラスに分けられて、そこで体験した内容について発表し、優秀と認められたグループが上位四組として同学年全員の前で発表することになるということだ。つまりーー
うちのグループは、ひとクラスで優秀賞を取ってしまったというワケだ。
本来なら喜ばしいことなんだろうけど、正直全然嬉しくなかった。むしろ迷惑もいいところ。辞退が可能なら秒速で辞退してた。
クソ、クソーークソッ!
おれはまだ寒さの残る体育館でひとり、マインドの中で悪態をつきながら震えていた。寒かったから?ーーそれもあるし、シンプルに人前に出たくなかったのだ。
オマケにおれらの出番はトリ前だった。トリじゃなくて本当によかったとは思うけど、とはいえ他のグループが画用紙にポスターカラーを多用してカラフルに仕上げたポスターで発表を行っていたり、紙芝居風に上手くまとめていたりしているのを見ると、何でおれはここにいるのかという気持ちにならざるを得なかった。
そして、ふた組目の出番が終わったーー終わってしまった。
そして、おれらの出番となった。他の四人が堂々とオーディエンスの前に立つ中、おれひとりだけが出るのを渋ったーー渋りまくった。
「五条くんッ! 始めるよッ!」
シーサーがいった。始めるよじゃねぇよ。そもそも今回の発表内容を考案したのも、おれをメインに据えたのもこのシーサーだった。魔除けどころか邪気ばかり呼び込みやがって。
とまぁ、それでおれも仕方なしに人前へ出たんよ、仕方なしに。そしたらーー
爆笑が起こったんだわ。
予想はしていたけど、案の定そうなると何かイヤだったよな。まだ本番が始まってもないのに爆笑が起きるなんてって感じだけど、それもそのはず。というのもーー
おれのズボンのチャックが全開だったのだ。
もはやここまで来たらもうお分かりだよな。そう、おれらのグループの発表内容とはーー
美原さんのズボンのチャックが全開だった話を劇にしたモノだったのだ。
いうまでもなく、美原さん役はおれ。この役を振ったのもいうまでもなくシーサーでした。もはや、ここまでくると怨恨○人も許されそうだよな。そんなことしないけど。
ちなみに、脚本執筆はおれ。何で自分が恥じ掻く芝居の本を自分で書かなきゃならんのよ。
まぁ、そんな感じで本番が始まってからも場の笑いは収まることなく、というか、チャックのネタが伏線回収されると、
「あぁ、演劇のためにチャック全開だったんだぁー!」
みたいな声が聞こえてきたり。逆にチャックが開いてることに気づかない状態で芝居してたらかなりの天然ーーごめん、おれ、天然だったわ。
まぁ、かなりのウケ具合ではあったんですが、残念なことに学年優秀賞は取れませんでした。むしろ、こんな下品な出し物、弾かれて当たり前だろ。こんなんで優秀賞取っちゃったら、学校の品格が問われるよな。
とはいえ、評判は良く、それから数日は男女問わず、チャックのネタを振られることとなったとさ。ほんと、この学校、品がないよな。やっぱ本当に上品で上流なのは五条氏しかーーえ、当事者のお前が一番品がない?
ほんとだよな。
アスタラビスタ。