【ナナフシギ~漆拾壱~】
文字数 576文字
完全にドン詰まりな雰囲気だった。
校庭は悪霊たちで溢れかえっている。エミリと清水は渦巻く怨念や霊障にやられて気絶してしまっていた。残るは祐太朗と岩淵だけ。
「我々だけになってしまいましたね」やや皮肉めいた調子で岩淵はいった。「どうしますか? 我々だけでも逃げますか?」
「ひとりで行けよクソジジイ」祐太朗は岩淵のことばを意に介す様子はなかった。「おれはお前みたいに冷たくはないんだよ」
「へぇ、珍しいですね。ご両親にはいつも冷たく当たっているというのに、同級生は特別ということですか」
「まぁ、そうだ」
「素直ですね。こんなことになってしまったことを悔いているんですか?」
「バカじゃねえのか」吐き捨てる祐太朗。「これは別におれが何かやったから起きたワケじゃないだろ」
「それにしてはやたらと首を突っ込むじゃありませんか」
「当たり前だろ。霊感も霊力も持たない小学生が霊道に迷い込んで神隠しにあったなんてことになったら色々と面倒くせえだろ」
「まったく素直じゃありませんね。そんなことよりーー」岩淵の目が光った。「随分と苦しそうにしてますが、大丈夫ですか?」
祐太朗はもはや返事をするのも苦しそうだった。かと思いきや、突然バタりと倒れてしまった。岩淵は大きく溜め息をついた。
「子供が無理をするからですよ」岩淵は蠢く悪霊を見渡した。「たまには頑張ってみますか」
【続く】
校庭は悪霊たちで溢れかえっている。エミリと清水は渦巻く怨念や霊障にやられて気絶してしまっていた。残るは祐太朗と岩淵だけ。
「我々だけになってしまいましたね」やや皮肉めいた調子で岩淵はいった。「どうしますか? 我々だけでも逃げますか?」
「ひとりで行けよクソジジイ」祐太朗は岩淵のことばを意に介す様子はなかった。「おれはお前みたいに冷たくはないんだよ」
「へぇ、珍しいですね。ご両親にはいつも冷たく当たっているというのに、同級生は特別ということですか」
「まぁ、そうだ」
「素直ですね。こんなことになってしまったことを悔いているんですか?」
「バカじゃねえのか」吐き捨てる祐太朗。「これは別におれが何かやったから起きたワケじゃないだろ」
「それにしてはやたらと首を突っ込むじゃありませんか」
「当たり前だろ。霊感も霊力も持たない小学生が霊道に迷い込んで神隠しにあったなんてことになったら色々と面倒くせえだろ」
「まったく素直じゃありませんね。そんなことよりーー」岩淵の目が光った。「随分と苦しそうにしてますが、大丈夫ですか?」
祐太朗はもはや返事をするのも苦しそうだった。かと思いきや、突然バタりと倒れてしまった。岩淵は大きく溜め息をついた。
「子供が無理をするからですよ」岩淵は蠢く悪霊を見渡した。「たまには頑張ってみますか」
【続く】